痰が絡むと、痰を吐きだすために咳か咳払いをします。
『エヘン』とか、『ゴホっ』とか老若男女みんな咳払いをしますが、シニアの方で咳払いの回数が異常に多い方がいます。また、時には大音量で『ウエッヘヘ〜ンン』なんてやっている人もいます。癇癪持ちの人は、小さな咳払いを『コホンコホン』と繰り返すのが面倒で、人目もかまわず大きな音を立ててしまうのです。
咳払いが人間関係に悪影響
実はこの咳ばらいが人間関係に影響してしまうことがあります。というのも、昔から咳払いは感情表現の一つとしても用いられているからです。
例えば、演説の前に一声『コホン』とやるのは衆目を集めるための動作です。威張るときの表現は『エヘンエヘン』です。何か自分が気に入らないことがあった時にも、『ウオッホン』なんてやることもあります。
とかくマイナスの感情表現に用いられる動作が咳払いなのです。
咳払いする本人は喉の不快感を解消したいだけでも、周りの人からは「何か不快なことがあるのだろうか?」「自分に嫌がらせをしているんだろうか?」と憶測されてしまうのです。これは、日本だけではなく海外でも同じようです。こう考えると、咳払いは厄介なものですよね。
それに、あまりにも回数が多かったり長引いたりすると、体力を消耗したり喉を傷めたりする原因にもなります。また、痰は黴菌のかたまりですから、飲み込んではいけません。風邪を引いている時などに痰を飲み込むと風邪が長引いてしまいます。
咳払いの原因
咳払いの原因になる痰は、何らかの病気が原因で増えている場合があります。
(1)耳鼻咽喉、呼吸器の病気
- 風邪やインフルエンザ
- 後鼻漏。副鼻腔炎を起していて鼻水が喉に落ちる症状
- 喉頭がん、咽頭がんなどの初期症状として、声がかすれる、痰が絡む、鼻水が多くなるなどの症状がある
- 花粉、ハウスダウストなどのアレルギー症状
- 肺結核、肺炎、肺がんなどの肺の疾患
- 嚥下障害。食物を飲み混む機能に障害がおきると、食後の咳や咳ばらいがおおくなる
(2)消化器の病気
逆流性食道炎にかかっていると、逆流した胃液が喉を刺激して喉に炎症が起き、咳や咳ばらいが出る場合があります。食後の咳や咳ばらいがひどい時には、逆流性食道炎を疑ってみましょう。
(3)ストレスからくる咳払い
もし慢性的に痰が絡むようなら、まずは医師の診断を受けましょう。原因になる病気が見つかったら、その病気の治療をすることが一番大切なことです。
咳払いを減らす工夫
病気の治療をするのと並行して、生活の中で咳や咳払いを減らすように心がけましょう。咳払いは痰が喉に絡むのが原因なので、痰が絡まないような生活の工夫が必要です。
- 埃が多い部屋にいると痰が増えます。掃除の頻度を増やすことも咳払いを減らすのに有効です。
- 口呼吸や口を開けて寝る習慣がある人は、マスクも有効な手段です。
- 布団には埃がたまりやすいので定期的に掃除機をかけることをおすすめします。毎日寝る前に、顔周りの部分だけでも掃除機をかけるとずいぶん違います。
- 部屋の換気も喉の健康を守るのに有効です。
効果的な換気の方法
窓を5cm程度あけてドアを全開にすると部屋の空気を外に出す事ができます。換気に時間がかかりすぎると、かえって風邪をひいてしまいます。1時間に1度ぐらい5分程度の換気で喉の負担は大きく軽減されます。
水分補給も大事
水分を取ると痰が柔らかくなって、しつこく絡むことが無くなります。いつもそばに水道水や緑茶を用意して、喉がいがらっぽいと感じたら口に含みましょう。水道水には次亜塩素酸ナトリウムが含まれています。緑茶にはカテキンが含まれています。どちらも、殺菌成分なので喉を清潔にすることができます。
水道水や緑茶は携帯可能なので、人込みに出る時にはとても便利です。同じように殺菌効果がある飲み物としては蜂蜜のお湯割りや紅茶割などもおいしくいただけます。痰の辛みがしつこい時には、スポーツドリンクを飲むと素早く水分補給ができるのでおすすめです。
心因性せきばらい
病気で長い間咳ばらいが続いた場合、病気が治っても咳ばらいが習慣になっている場合があります。また、咳払いの中にはストレス性の咳払いもあります。
心因性の咳払いの特徴は、原因になる病気が無いことと、起きている時にだけ咳払いをすることです。この場合には、まずは心療内科などでストレスになっているものが何かを調べます。当然ながらそのストレスの元を取り除くのが一番いいのですが、それが無理な場合には少しでも他の楽しみを持つようにしましょう。
趣味を持ったり適度な運動をしたり、お友達とおしゃべりを楽しんだり、普段の生活の中で手軽な楽しみを見つけておきましょう。