猫背は、鏡を見なければなかなか気が付きません。それも、自然な動作の途中で何気なく見なければ、自分が猫背かどうかわかりにくいのです。
自宅の鏡で、自分でチェックすると、どうしても姿勢を正してしまうので、街中の大きなショーウインドウに移っている自分を見て、愕然とすることがあります。とにかく歩く姿が老けて見えるのです。
普段、身だしなみに気を付けてファッションも年齢よりは若々しくしているのに、向こうから近づいてくる私は、自分が思っているよりもずっと老けている。それは歩く時の姿勢が大きく影響します。特に、背中が少し曲がってあごが出た姿勢、要するに猫背になっていることが多いのです。
猫背はただ老けて見えるだけではなく、健康にも悪影響があります。
- 頭痛、肩こり、腰痛などで、他にも猫背になると、常に頭が前方に付きだした姿勢になるので、首は斜めに頭を支えることになり、首こりの原因になります。当然に肩の負担も大きくなり慢性的な肩こりに悩まされることになります。
- 首回りや、鎖骨周り、腋の下のリンパ液の流れを悪くなり疲労物質がたまりやすく、免疫力が落ちてしまいます。
- 首や肩甲骨の周りには、褐色脂肪組織が密集しています。褐色脂肪組織は振動を伴わずに発熱することができる組織で、体を動かす事無くカロリーを消費するので、この組織が活発に働くとダイエットにつながります。また、寒さを緩和することができます。猫背の人はこの活性脂肪組織の働きが緩慢になるので、いわゆる「寒がり」になってしまいます。
- 猫背になると、肋骨、肺、消化器を圧迫するので、呼吸が細かくなったり胸やけなどの要因になります。
猫背の原因は大きくわけると3つあります。
(1)日頃の姿勢
デスクワーク、パソコンワーク、細かい作業を続ける仕事の場合どうしても姿勢が前かがみになってしまいます。その前かがみが習慣になってしまい猫背になってしまうのです。
(2)筋力の衰え
背筋、胸筋、腹筋がバランスよく体幹を支えることで正しい姿勢が保たれますが、加齢や運動不足などでそれぞれの筋肉が衰えます。
(3)骨の衰え
骨密度が粗くなり背骨が曲がってしまうのです。
猫背を治すためのストレッチ
椅子に座ったまま出来るお手軽ストレッチ
- 椅子に深く腰掛け、背もたれの後ろで両腕を組みます。
そのままの姿勢で組んだ腕をゆっくり上にあげます。肩甲骨をぐっと寄せる感じです。 - 両腕をまっすぐ前に伸ばしたまま肩の高さで組みます。
肩甲骨をグッと開くように組んだ腕を前方に突き出します。
肩甲骨周りの血行をよくし肩こりの防止にもなりますよ。とにかく手軽なので、作業の合間に何度でもできます。
入浴後には、タオルストレッチがおすすめです。
タオルを両手で肩幅よりも少し広めに持ちます。タオルを張ったまま前から後ろへ、後ろから前へ回します。最初はタオルの幅を広く持って、できる範囲でやってみましょう。段々に、タオルの幅を狭めていけばいいのです。
ストレッチは、反動を付けずにゆっくりと行うことが大切です。
猫背を治す筋トレ
猫背を治すためには、衰えた筋肉を鍛えなえればなりません。最も効果が表れやすいのが背筋のトレーニングです。うつ伏せに寝て、両手を広げ、足は肩幅よりも少し広めに広げます。ゆっくり上体を起こすと、同時に腕や足も上に上がります。
このトレーニングでは背筋を鍛えながら、胸筋、腹筋など総合的に筋力を使うので猫背の矯正に非常に有効です。ただし、結構ハードな運動なので、反動をつけると腰や背中を痛めてしまいます。できる範囲で、ゆっくり練習しましょう。大切なのは、毎日続けることです。
骨密度を高くする
加齢とともに骨密度は粗くなります。少しでも、骨代謝をあげて骨を丈夫にしましょう。
適度な運動が骨代謝を盛んにします。
ストレッチや筋トレとともに、ウオーキングなどの有酸素運動を取り入れると骨の衰えを防ぐことができます。
筋肉や骨を作る食品を食べましょう。
カルシウム、マグネシウム、ビタミンD、ビタミンKなどは骨を丈夫にする栄養素です。乳製品、大豆製品、雑魚、パセリ、ツナなどを食べると骨に必要な栄養が取れます。また、肉類、魚類、大豆製品などのタンパク質を充分に食べましょう。偏った食生活は他の病気の要因になります。同時に、野菜や海藻などビタミンやミネラルを充分に摂取しましょう。
アルコール、カフェイン、ニコチンはカルシウムを消耗します。お酒、コーヒーや紅茶などは飲みすぎないように、またできるだけ禁煙をしましょう。
最後に
猫背を治すと、見た目がぐんと若返ります。おしゃれのし甲斐もあるというものですよね。