年齢を重ねてくると、様々な病気に脅かされるようになりますが、とりわけシニアを脅かす病気に認知症があります。認知症は発症すると完治することが難しい病気です。認知症は進行すると介護を受け無ければならない病気です。介護を受けなければならない病気は、いろいろありますが認知症の場合には、人に迷惑をかけても自覚がない、逆に人に騙されたり危害を加えられたりする可能性もある、自分が自分ではなくなってしまう、というような不安感があるのです。
認知症の進行を食い止めるためには、周囲が早期に気が付くことが大切だといわれています。というのも、認知症には自覚症状がないというのが定説になっているからです。ところが、周囲の人といっても配偶者や親子兄弟というような近しい人たちが、認知症の初期症状で気が付くかといえば、これが甚だ危うい物なのです。
認知症はゆっくり進行する病気です。毎日顔を合わせている人ほど変化に気が付きにくいのです。また、自分の配偶者が認知症であることを受け入れずに単なる老化、物忘れとして治療を遅らせてしまう傾向が強いのです。認知症の本当の初期症状に気が付くのは周囲の人よりも、むしろ、本人の場合が多いのです。
脳血管障害型認知症
脳血管障害型認知症の初期症状は軽度認知障害と呼ばれます。脳に小さな梗塞があるということです。物事の考え方や判断基準などはしっかりしているので、日常生活に大きな支障は起きません。ただ、物忘れの頻度が多くなり、普通は忘れないレベルのことを忘れてしまいます。この傾向がある時期から急に始まります。約束の日時や人の名前を忘れたりします。
診察日を間違って病院へ行ったり、法事の日を間違えてお参りに行ったりすることもあります。その割には医師のいうことはしっかり理解していたり、込み入った話の内容も理解でき、善悪、危険なことなどの判断もしっかりしているので普通に日常生活ができます。
もし、最近物忘れがひどい、物忘れで恥をかいたり人に迷惑をかけたりするようなことが起きた場合には医師の診断を受けましょう。脳血管障害がある場合には、早急に治療を受ければ完治する可能性があります。放置すれば、認知症へと進行するばかりではなく脳梗塞の発作を起こす可能性があります。
アルツハイマー型
アルツハイマー型の場合には、約束の日を忘れるだけではなく約束をしたことも忘れます。つまり、忘れていることを人から指摘されない限りわからないのです。身に覚えがない約束などで人に叱られたりしたときには、軽く考えずに医師の診断を受けましょう。
正常圧水頭症
正常圧水頭症では歩行障害や尿失禁の症状が出ます。両脚を肩幅程度に開き小股で進むため、少々コミカルな動きになります。自覚症状としては、もの忘れ、歩きづらい、尿失禁などがあります。手術、そのほかの医療で完治または大きく改善する可能性があるので、異常を感じたらすぐに医師の診断を受けましょう。
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は物忘れより先に幻視が多いのが特徴です。虫、蛇、ネズミなど現実にそこにはいないものにおびえたり、子供や孫、配偶者などが目の前にはいないのに話しかけたりします。物忘れが始まると自分が忘れたことを自覚しています。
前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症では、物忘れよりも異常行動が多くなります。同じものを食べ続けたり同じ言葉を何度も繰り返したりします。社会性が損なわれるので善悪の判断もあいまいになり万引きなどの事件を起こすこともあります。初期では、本人も何らかの不安感を抱えることが多いのです。
認知症リスクが高い人は?
- 過去に失神や昏睡など意識障害が起きるほどの頭部外傷の経験がある人
- 単独行動が多い人
- 散歩や運動をしない人
- 歯が半分以上ない人
- 新聞や本を読まない人
- 長く継続している趣味がない人
- 休日は寝て過ごす人
- 肉食中心で緑黄色野菜や魚が嫌いな人
- 煙草を吸う人
- うつ症の人
- 糖尿病、脂質異常、メタボリックシンドロームの人
- 脳梗塞や心筋梗塞など循環器系の病気の人
アルツハイマー型認知症とアルミニウムの因果関係
アルツハイマー型認知症の人の脳にはアルミニウムの沈着が多くみられることが確認されています。またアルミニウム含有量の多い宇出津の河川付近の住民にアルツハイマー症の患者が多いという報告もあります。しかし、現状ではアルミニウムとアルツハイマー型認知症との因果関係は否定的な見解の方が優勢です。特にアルミニウムの調理器具から溶け出すアルミニウムとの関連性は完全に否定されています。
とはいえ、アルミニウムは必須ではありません。避けておいたほうが無難ではあります。アルミニウムは酸に弱いので、酢をつかう料理にはアルミ製調理器具やアルミホイルを使用するのはやめておきましょう。食品の保管にもアルミ製容器は使わないほうが無難です。
認知症リスクを避けるには?
- 積極的に人付き合いをして人との会話を増やしましょう。
- 毎日散歩や有酸素運動をしましょう。
- 歯を大切にしましょう。朝夕の歯磨きはもちろんのこと、うがいなどをよくして口中を弱アルカリ性に保ちます。
- テレビやラジオだけではなく新聞や本を読みましょう。
- 趣味を見つけて継続しましょう。
- 休日にも散歩や有酸素運動をしましょう。
- 栄養のバランスを整え、魚、緑黄色野菜を多く食べましょう。
- 禁煙をしましょう。
- 深酒をやめましょう。
- 糖尿病、脂質異常、メタボリックシンドローム、脳こうそく、心筋梗塞などがないか定期的に健康診断を受けましょう。
- 抗酸化作用が強い成分を多く含むものを多く食べましょう。ビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10、αリポ酸などを多く含む食品を多く食べましょう。また、サプリメントも適宜利用しましょう。
- カレーを食べましょう。カレーの材料の一つのウコンに含まれるクルクミンは脳の機能を活性化する作用があります。レトルトカレーでも効果があります。クルクミンは脳血液関門を通過して脳内の抗酸化をします。特にアルツハイマー型認知症の原因物質を除去する働きがあります。
最後に
年齢を重ねると誰でも、物忘れがひどくなったり判断能力が鈍ったりします。
そんな時に、どの物忘れが認知症の初期症状か普通の老化現象かを判断するのは困難ですし、周囲も本人も希望的な観測をしてしまうものです。早々に、医師の診断を受けて、初期症状の治療を受けてしまったほうが認知症が進行しにくいのです。
特に完治可能といわれている認知症に似た疾患の初期治療に結び付くことも考えると、とりあえず脳外科や脳内科の受診は急いだほうが得策です。