気分よく過ごすといっても、生活の中で毎日ハッピーという訳にもいきません。
でも、朝目が覚めたらおなかがすいていて、お昼ご飯は何しようかとか、今日はお風呂に柚子でも入れてみようかなんて、小さな楽しみを持ちながら暮らしたいものです。
ところが、50歳を過ぎる頃から、そろそろ近親者の不幸も多くなってきます。職場でも責任が重くなったり、逆に後進に道を譲らなければならない場面もあります。その時その時、ショックを受けたり、悲しんだりするのは当然のことです。普通なら、何か月かすると悲しいながらもそれなりに気分を持ち直してきます。ところがいつまでたっても、そのショックや悲しみから立ち直れない場合があるのです。
老人性と表現されてはおりますが、そんなに高齢ではなく50歳過ぎた頃から、うつ病のリスクが高まってきます。若年性のうつ病は気質に大きく左右されますが、シニア世代のうつ病は、気質というよりは体調や脳の加齢の度合いに左右されます。
こんな症状が要注意!
一日中、気分がすぐれなくて食欲がなくなります。夜眠れなかったり、朝すごく早く目が覚めてしまったりする日が続き、一日中気だるい気分で何もせずに過ごす日が増えます。普段無意識にこなしている家事が億劫になり、調子が悪い日は入浴さえも面倒になります。人づきあいも悪くなり外出が極端に減ります。
原因不明の頭痛、肩こり、腰痛などの痛みが多くなるのも、老人性うつ病の特徴です。
老人性うつ病の原因
老人性うつ病には、きっかけになる出来事があります。
最も多いきっかけが、パートナー・友人・ペットなどとの死別です。仕事を辞めたことがきっかけになることも多いです。
小さな不調、例えば五十肩や小さな怪我などが続いても、なんとなく何もかも面倒になってしまう時もあります。脳内のセロトニンが不足していると、喪失感や挫折感を味わった時に回復力が衰えると言われています。セロトニンは脳内で情緒を安定させる役目を果たす重要な物質です。シニアになると、セロトニンや快楽物質であるドーパミンの分泌のバランスが悪くなります。
これらの不調が、うつ病の原因になるのです。
老人性うつ病の治療
通常のうつ病と同じく、抗うつ剤の投与・カウンセリングなどで治療します。
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背の青い魚を食べましょう
うつ病の予防には、オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸のバランスが大切だと言われています。オメガ3脂肪酸とはDHAやEPAなどのフィッシュオイル、オメガ6脂肪酸とはコーン油やサフラワー油コーン油などです。
オメガ3とオメガ6のバランスは、1:1〜1:2が適正だと言われています。
オメガ6が多すぎると、動脈硬化や高血圧などの成人病リスクが高まることはよく知られています。またうつ病リスクも高くなります。ところが、現代の食生活ではオメガ6は過剰傾向で、オメガ3は不足傾向の人が多いのです。オメガ3は背の青い魚に多く含まれています。サバ、イワシ、マグロ、カツオなどを積極的に食べましょう。
アミノ酸とビタミン・カルシウムでセロトニンを合成しよう
アミノ酸は、ビタミンB6やB12、カルシウムと結びついて、セロトニンを合成します。
アミノ酸は肉類、魚類、大豆、卵などに多く含まれています。ビタミンB6はニンニク、マグロ、カツオなどに、ビタミンB12は貝類に多く含まれます。カルシウムは牛乳、小魚などに多く含まれています。
以前はシニアには「牛乳1日コップ1杯、卵1日1個」と言われていましたが、最近では卵は一日2-3個が良いと言われています。卵黄にはコリンというアルツハイマー予防に効果があると言われています。また、卵黄の黄色はカロテンの色で目の栄養としても優れています。牛乳もローファット牛乳などを利用して多めに摂取するといいでしょう。
食欲が無い時や偏食が有る場合には、フィッシュオイルやビール酵母、にんにく卵黄などのサプリメントで補う事も有効です。
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老人性うつ病は、親しい人しか気づけない
老人性うつ病の難しいところは、周りが気づかないことが多いという事です。
- 少食になった
- 夜よく眠れない
- 外出が減った
- なんとなく気弱になった
これは全て、「年だから」で片付けてしまいがちなことです。ましてや一人暮らしともなれば、日々の暮らしぶりを見てくれる人も少ないので発見が遅れてしまいます。
「最近見ないけどどうしたんだろう?」「いつもはおしゃれなのに最近は髪もとかしてないような?」「最近庭の花が枯れてる!!」など、気づいてくれるようなご近所さんを作っておきましょう。
日頃のご近所づきあいや友達づきあいは、それ自体が生活の楽しみにつながります。たまに喧嘩になってしまって、「どうしたら仲直りできるだろう?」と悩むのだって、生きがいの一つになるのではないのでしょうか?