明日葉に学ぶ「身土不二」という考え方

昔から「一里四方のものを食べると体にいい」「その土地のものを食べるのが健康にいちばんよい」などといわれていますが、一里は約4kmですからかなり小さい空間です。
こんなに狭い地域のものを食べていればよいといわれるのには、いったいどんな根拠があるのでしょうか。

かつては一里四方の恵みで十分だった

昔は現在ほど食べ物の保存技術がなかったため、遠くから食べ物を運んできても、食べるころには腐ってしまいます。その意味で一里四方といわれるようになったのかもしれませんが、自分の住んでいる場所の食べ物が一番自分の体に合っているということでもあったかもしれません。

かつては一里四方にさまざまな食べ物があったと考えられます。農業が今のように画一化されていなかったので、野菜も穀物も実に多彩だったでしょう。動物性タンパク質も、わざわざ遠くから運んでこなくても、川ではアユやサケ、うなぎ、サワガニなどが、そして野ではウサギやイノシシ、シカなどが重要なタンパク源として捕獲されていたかもしれません。

つまり、一里四方といっても体に必要なものは十分備わっていたと考えられるのです。

同じ環境下の人間と食べ物

そして、食べる者と食べられる物が同じ環境下で育っているということも重要なポイントです。

海外へ行く際、「水には気をつけるように」とよく言われますが、これは昔の人がよその土地へ旅するとき、水が変わっただけで体の調子を崩すことが多かった教訓から生まれた言葉です。つまり、生まれ育った土地とは違う場所へ行く際は食べ物や水が体に合わないということを意味しています。

先祖代々そこで育ってきたなら、その土地に合った体にできあがっています。そのため、本来は見知らぬ土地からやってくる得体の知れない食べ物はなるべくなら口にしないほうがいいということなのでしょう。

詳細情報が明らかで安心

また、どこで誰がいつ収穫し、どういうルートで来たのかということがわかる一里四方でとれる食べ物と、地球のどこか知らないところから輸入されて来たものでは、安心感がまったく違います。

さすがに現在では一里四方に限るのは難しいですが、せめて可能な限り日本の風土で育ったものを優先して食べたいものですね。

日本の固有種・明日葉

明日葉がこれまで生薬として利用されてこなかったのは、明日葉が日本の固有種で、伊豆七島というごく限られた地域にしか自生していなかったからです。原産地の人々が明日葉を健康食として伝統的に食べてきたことこそが、明日葉が毒性を持たず古くから食べ継がれて人々の健康に役立ってきたことを証明しています。

健康志向の強い現代では、体によいといわれる食べ物がたくさんあります。たとえば、中国には健康効果が高いといわれる高麗人参や霊芝、冬虫夏草などの薬用植物があり、日本でも愛用されていますが、同じ黄色人種とはいえ、中国人と日本人では生まれ育った環境やそれまで食べてきたものがまったく違うので、中国人に合うものが日本人の体質にも合うとは限りません。

また、漢方薬も中国と日本では使用量が異なります。中国のほうがたくさん使われるので、同じ量を日本人が服用しては強すぎてしまいます。つまり、日本人には日本人に合った量や処方があるということです。

これらのことからも、日本の固有種であり日本の風土で育った明日葉こそ、日本人の体質に合っている健康野菜といえます。
「身土不二」という言葉の通り、日本人には日本の風土で育ったものを食べるのが最も自然で、体質にも合っているということなのです。

明日葉は日本の固有種で、薬に負けないほどの作用が認められているにもかかわらず毒性がなく安心して食べられるという、いいことずくめの健康野菜です。
しかも調理次第でおいしく食べられるので、まさに「医食同源」という言葉にふさわしい野草といえます。

薬に頼らず食べ物で健康を保ちたい、でもどんなものが自分に合うかわからないという方にこそ、この明日葉がおすすめです。

明日葉のように、私たちになじみ深い日本の風土で育ち、万能といってもいいほどの数多い効能が期待できるにもかかわらず禁忌や副作用の心配がない健康食は、世界中を探してもそうそう見つからないでしょう。

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