梅干しが歴史上の記録に初めて登場したのは平安時代中期で、当時の文書に村上天皇の病を梅干しで治したという記述が残っています。また、鎌倉時代から戦国時代の武士は、解毒剤や気付け薬として戦場に携帯していたともいわれています。
有機酸が食欲を増進
梅干しのにおいをかいだだけで唾液が出てくることがありますが、これはクエン酸やリンゴ酸など、酸味のもとになる有機酸によるものです。唾液だけでなく胃液などの消化液の分泌も高まり、栄養素の吸収がよくなります。
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二日酔い予防の裏ワザ
また、梅干しに含まれる有機酸の一つであるピクリン酸には、肝機能を活性化させる作用があるといわれています。肝臓のアルコール分解能力が高まるので、二日酔いの予防に効果的です。お酒を飲むときは、焼酎のお湯割りに梅干しを入れたり、シメに梅茶漬けを食べたりするのがおすすめです。
強力な殺菌力で腐敗や食中毒を防ぐ
梅干しのもう一つの大きな特徴は強力な殺菌作用です。腐敗や食中毒の原因となるほとんどの細菌は、酸性度が高いと生きていけません。特に強い毒性を持つO-157でも、pH2.5ほどで死滅します。梅干しの酸性度は高いものでpH2.0ほどもあるため、かなり強い殺菌力を持っているといえます。
おにぎりやお弁当に梅干しを入れるのは、この殺菌作用を活かした昔ながらの知恵なのです。
梅にまつわる悪い食べ合わせの真犯人は?
「梅干しとうなぎ」などの悪い食べ合わせといわれることわざの根拠ははっきりしていませんが、未成熟な青梅の核に含まれるアミグダリンという成分が、有毒な青酸を生成して食中毒を引き起こすことに関係していると考えられます。
アミグダリンは梅干しにすると分解されるので心配はありませんが、先人が青梅を食べて中毒を起こしたことから、このように伝えられているのかもしれません。