「秋バテ」をご存知ですか?
秋になったにもかかわらず夏バテの症状が出たり、夏バテの状態がずっと秋まで続いてしまったり。
この記事では、秋バテの原因とその対処法を紹介します。
あますところなく詳しく書いた長文になりますが、ざっくりとこんな内容になっています。
- 夏に体力を使いきって秋バテする
- バテをもたらす主犯格は、紫外線
- 紫外線が疲労原因因子 FFを作る
- FR(疲労回復因子)がFFと戦ってくれる
- 運動と入浴、効果的な栄養摂取でバテ解消できる
【 目次 】は下記です。夏の疲れを早く取りたい、秋に残したくないというかたは、必読ですよ♪
疲労回復因子(FR)のイミダペプチド、じつは手軽に摂取可能です。
夏バテ・秋バテのメカニズムは?
9月に入ると徐々に暑さも落ち着き、快適な気候へと近付いて行きます。それとともに、身体も快適になり、スポーツの秋を迎える頃には絶好調! ・・・といきたいのですが、実際には、なかなかそうはいかない人も多いのではないでしょうか?
それもそのはず、初秋は『秋バテ』の季節なのです。
夏バテをすれば秋バテもする! 夏バテをしなくても秋バテはする!!
- 食欲がない
- 何となく怠い
- すぐに疲れる
- 頭がボーっとする
- 昼間でも眠い
- 軽いめまいや立ちくらみが起きる
これらは典型的な夏バテの症状です。ところが9月に入っても、その症状は改善されるどころか、悪化する人も少なくないというから困ったものです。
季節は間違いなく夏から秋に移っている訳ですから、もはや「夏バテ」とは言えません。これは立派な『秋バテ』ですので、秋バテなりの適切な対処をする必要があります。夏バテは体力さえあれば乗り切れますが、秋バテはそうはいかなのです。体力だけは自信があると言い切る人でも秋バテに見舞われるため、誰もがそのリスクを背負っていると言えるでしょう。
- 夏バテをすれば秋バテもする!
- 夏バテしなくても秋バテはする!!
なんとも困ったものです。
前者のように、夏バテをそのまま引きずったタイプを「だらだら不調型秋バテ」、
後者のように、夏バテしなかったのに秋にバテるというタイプを「燃え尽き型秋バテ」と呼びます。
夏バテのメカニズム
そもそも私たち日本人が夏バテするのは、単に暑いからだけではありません。実は、『牛乳が最強の熱中症予防!暑熱順化の重要性』や『正しい熱中症対策は脱水レベルに適した水分補給』で学んだ「暑熱順化」や体温調整メカニズムが大きく関わっているのです。
上記の記事で紹介したように、私たち人間は外気温に関わらず、常に一定に体温を保持する事のできる「恒温動物」です。そのため、周囲の気温が下がると体温を上げ、周囲の気温が上がると体温を下げながら生活している訳ですが、この外気温は、必ずしも気象条件だけが決めるものではありません。確かに、屋外の温度や湿度は基本的に気候が定め、夏になれば上がり、冬になれば下がるのが日本の四季の特徴ではあります。
しかし、屋内はどうでしょうか?
むしろ、屋外の気温が高ければ高いほど、冷房を使って温度を下げ、屋外の気温が低ければ低いほど、暖房を使って温度を上げます。そうなると、外は猛暑の夏なのに室内は快適な春! あるいは、外は極寒の冬なのに室内は快適な秋という事になり、身体は出入りを繰り返す度に体温調整しなければならなくなる訳です。そして、その体温調整は、放熱と産熱の繰り返しであって、体力なくしては出来ません。さらに、その指令伝達を担う自律神経も正常である事が絶対条件です。
しかも、冬はいくらでも着込んで防寒できますが、夏はそうは行きません。
例え気温35度を超える猛暑日でも、街中を裸で歩けば逮捕されるため、最低限の衣類は身につける必要があります。また、自室でも全裸になるのが関の山! 肉や皮まで脱ぎ捨てる訳に行きませんから、肉体はもう全身全霊で体温調節に勤しんでいる訳です。当然、体力は消耗し、自律神経もフル稼働でヘトヘト!
そうなると、元々体力のない人や自律神経の不安定な人は、それ以外の消化や血行促進、新陳代謝、そして、脳機能についやす力が不足してしまいます。その結果、食欲不振に陥ったり、倦怠感が抜けない、疲労が回復しない、あるいは、頭がぼんやりしたり、時に頭痛やめまいに見舞われたりもするのが夏バテの原理です。
けれど、もし体力に十分な余力があれば、それを使って体温調整以外の作業も難なくこなせます。体がおとなしく言う事を聞いてくれれば、自律神経も楽で、さほど疲れません。夏場に栄養のあるものを沢山食べ、たっぷりの睡眠を取って体力を付けるようにと言われるのはそのため!!
確かに、体力の有り余っている子供たちは、暑い盛りでも昼夜を問わず元気いっぱいです。また、大人でもスタミナのある人は夏バテ知らずで、もりもり食べ、爆睡し、元気に動き回っています。
ただ、体力のない人や自律神経が不安定な人は、体温調整に労力が奪われる事で食欲が衰えるため、食べてスタミナを付けたくても付けられない。熱帯夜が続くと、暑さに安眠が妨げられ、良質な睡眠を取りたくても取れない。こうした現実の元、片っ端から夏バテしていくのです。
秋バテのメカニズム
子供の頃はみんな、夏休みに体力の限り遊び尽くしても、2学期になればまた元気一杯の学校生活が当たり前に過ごせていました。それどころか、海で一日中泳いで疲れ果てても、一晩寝れば元気回復!! 今度は山に駆け上れたりもしたものです。しかし、大人になるとそうは行きません。
確かに、大人の方が体力の限界は高く、遙かに多くの運動量をこなす事が出来るでしょう。ただし、その分、強弱の差は激しく、一度衰えると、なかなか々適度な位置まで上昇しないという弱点を持ち合わせていて、この弱点は、年を取れば取るほど顕著に表れます。その点、子供は体力の限界が低いですから、衰える範囲も小さく、すぐに全快する事ができます。さらに、ストレスが少なく、自律神経も安定していて、休む時は休む、動く時は動くというメリハリがはっきり付けられるため、体力の無駄な消費を防ぐ事もできるのです。
ところが、体力の回復が困難なのにも関わらず、やるべき事が溢れ返っているのが大人社会。恐らく、多くの人が余力の乏しい状況にあると見ていいでしょう。おまけに、疲労やストレスを抱えて自律神経は困憊気味となると、どんなに元気に見える人でも、実際は夏を乗り切るだけで一杯一杯! 秋にはバテてしまいます。夏バテしなくても秋バテしてしまうのはそのためで、まさしく夏に燃え尽きた結果なのです。
とは言え、秋に入って気候が穏やかになると、体温調整が容易になります。必死に自律神経を稼働させ、四六時中放熱や産熱をしなくてもいい訳ですから、その分の余力を、消化や血行促進、そして、脳機能に回す事ができるでしょう。すると、食欲が回復し、スタミナも付けられますし、体の動きや頭の回転は良くなるはず!! なのですが・・・、昨今は9月に入ってもいつまでも残暑が厳しく、昼間は簡単に夏日になります。しかし一方で、朝夕はめっきり涼しくなり、この昼夜の寒暖差は、ちょうど夏場の屋内外の寒暖差に近いものがあるのです。
そうなると、季節は移り変わっても、こまめな体温調整をしながら一日を過ごす日々からは抜け出せない。夏場と同じように自律神経のフル稼働と体力消費が続くという事で、すでに夏バテしていた人は、もはや完全に自律神経と体力は持たない状態にあります。
加えてもう一つ、なんと、私たちの身体は、初夏から夏の間に掛けて、紫外線を浴びる度に着々と破壊されているのです。そのため、元気のキープや回復はよりいっそう困難になります。という事で、夏バテすれば秋バテも自動的に付帯し、症状は悪化する。さらに、夏バテしなくても秋バテはするという訳です。
おまけに、秋になると日本列島の頭上で頑張っていた高気圧の勢力が徐々に衰え、低気圧が頻繁に侵入して来るようになります。それに伴い、天気の悪い日も増える訳ですが、この低気圧の攻撃は、酸素量を奪い、自律神経を乱す要因となるため、体調不良にとどめを刺すのです。
こうした事を考えると、秋口の私たちは、もはや泣きっ面に蜂状態!!
「だらだら不調型」も、「燃え尽き型」も、自律神経の乱れと体力不足は否めず、これをなんとかしないといけないわけですが、加えて、紫外線を浴びた身体の修復も必要です。
そこで、これらの対処法を、順を追って考えていきたいと思います。
まずは、紫外線で破壊された身体の補修策からです。
秋バテの主犯格は良からぬタンパク質なのだ!!
ここでは、ちょっと困ったタンパク質のお話をしましょう。『タンパク質』は、私たち人間の身体のおよそ20%を形成する大切な物質で、「炭水化物」・「脂質」とともに「三大栄養素」として重要性が常に呼びかけられています。とはいえ、タンパク質にもいろいろありまして、必ずしも身体に良いものばかりではないようです。
タンパク質にもいろいろある
そもそもタンパク質というのは、アミノ酸が鎖状に多数繋がって出来ている化合物の総称で、体内のタンパク質は20種類のアミノ酸から構成されています。因みに、私たちの体のタンパク質を作るアミノ酸は、次の20種類。
バリン・ロイシン・イソロイシン・グルタミン・アスパラギン酸・グルタミン酸・アルギニン・アラニン・プロリン・システイン・リジン・スレオニン・アスパラギン・フェニルアラニン・セリン・メチオニン・グリシン・チロシン・ヒスチジン・トリプトファン
そのうち、その構造から「BCAA」と呼ばれる「バリン」・「ロイシン」・「イソロイシン」の3つは、食物中のタンパク質を構成する必須アミノ酸の約50%を占め、身体の筋肉筋を構成するタンパク質としても約35%を占めています。
これらアミノ酸の中には、聞いた事のある名前もあれば、聞いた事のない名前もあるかと思われますが、私たちの体を構成しているタンパク質は10万種類もあると言われていて、その全てをこの20種類のアミノ酸で作っているのですからすごいものです。当然、数や並び方を変え、数え切れないほど沢山の組み合わせを持って形成している訳です。ただ、そうなると、中にはちょっと怪しいタンパク質が紛れ混んでいても不思議ではないでしょう。実際、そんなちょっと怪しいタンパク質が作られると、人は疲れるのです。
夏の疲れの犯人は紫外線!
夏に屋外で遊ぶと、帰宅後にどっと疲れるという方は多いはず! その疲れ、暑さのせいだと思っていませんか? でも、本当は違うんです。確かに、夏に外出すると疲れるのは暑さのせいもありますが、実際にはそれだけではなく、強い紫外線を沢山浴びるからで、むしろ、夏に異常なほどの疲労をもたらす犯人はズバリ「紫外線」なのです。
ところが、紫外線が直接疲れを感じさせるという感覚をお持ちの方は少なく、やっぱり暑さが疲労を呼ぶというのが多くの方の見解。実際、気候のいい時季の日光浴は疲労が取れるほど心地よいものだったりもして、日焼けを気にされない殿方などは、帽子を被る程度の対策で平気で外出されます。また、日焼けでシミやシワは作られても、良からぬタンパク質まで作られるとは、頭脳明晰な女性でもなかなか想像できところでしょう。
しかし、紫外線を浴びると、私たちの体内には多量の「活性酸素」が発生します。すると、その活性酸素が『Fatigue Factor(ファティーグ・ファクター)』というタンパク質を発生させ、それが疲労の原因となるのです。因みに、通称“FF”と呼ばれるFatigue Factorは、日本語に直訳すると“疲労因子”となり、まさしく「疲労原因タンパク質」という全く有り難くないタンパク質です。
活性酸素が発生すれば?
活性酸素が出て来ると、「これはちょっと危ないかも!?」と、にわかに危機感を増された方も多い事でしょう。確かに老化を招く主犯格である活性酸素は、強い毒素です。ただし、思うほど悪いヤツではなかったりもします。
私たち人間は糖や脂肪を燃焼させ、捻出したエネルギーで稼働している訳ですが、ここで小学校の理科の時間を思い出してみて下さい。『燃焼は酸素がなければ発生しない』と習いましたね? そう、人は酸素がなければ生きて行けません。実際、私たちの身体は、栄養を酸素で燃やして生命維持しています。そして、その酸素が燃える時に生じるのが「活性酸素」です。従って、体内には常に活性酸素が蔓延しています。
そして実は、活性酸素は人が生きて行く上ではなくてはならない重要な物質! 毒性が強いという事は、それだけ殺菌作用や抗菌作用も強いという事で、これ以上ない優秀な消毒薬です。また、酵素活性を促す作用もありますから、身体の全ての細胞を保護し、その健康維持に努めてくれています。このため、普段の呼吸から取り込む酸素のうち、約2%は活性酸素となっても活用されているのです。
とは言え、強力な毒素を主成分としているわけですから、過剰は厳禁です。もし、活性酸素が必要以上に細胞に取り込まれると、細胞が酸化し、機能低下を引き起こしてしまいます。そこで、細胞の酸化を阻止するべく頑張っているのが抗酸化物質の部隊! 彼らは、常時過剰な活性酸素を除去する兵たちで、私たちがこの世に命を得た時からずっと働いてくれています。
ところが、体内に発生する活性酸素の量が増えすぎると、抗酸化力が及ばず、活性酸素に支配されてしまうため、細胞は徐々に酸化してしまいます。酸化する事は錆びる事で、細胞がさび付けば増殖や活性が困難になり、老化の最たる要因となる訳ですが、この細胞が酸化する過程で発生するのがFF(疲労因子)です。
従って、夏バテや秋バテを防ぐには、出来る限りの紫外線防止対策を講じる事が大切だと言えるでしょう。
でも、「今さら言われても、もう遅い…」という方は少なくないはず!!
ご安心ください。私たち人間の体は実に優秀ですから、ちゃんと自分で対処できるようになっています。ゴールデンウィークから夏休みに掛けて散々紫外線を浴び、FF(疲労因子)を大量に発生させてしまった場合でも、秋バテを防止する事は十分可能なのです。
疲労原因タンパク質をやっつけ、秋バテを防げ!
ちょっと困ったタンパク質のお話の後編は、FFこと疲労原因タンパク質をやっつけて、夏バテや秋バテを乗り切る方法です。
紫外線が夏バテや秋バテをもたらすメカニズム
紫外線は、身体表面にシミやシワを作るだけでなく、体内の活性酸素を増やし、「疲労原因タンパク質」であるFFこと、『Fatigue Factor(ファティーグ・ファクター)』も作ります。そのため、初夏から秋口に掛けては、日差しの強い日に外出すると、暑さプラス紫外線というW攻撃を受け、より一層疲れを感じる訳です。
そもそも活性酸素は、細胞が頑張って燃えれば燃えるほど多量に精製される訳で、身体がエネルギーを欲すれば欲するほど増えるわけです。さらに、活性酸素は精神が弱っていても発生します。となると、心身ともにスタミナを必要とする夏場などは、元々要注意の季節なのにも関わらず、紫外線を浴びるだけでも発生するという事で、これはもうたまったものではありません。どんなに元気な人の体内でも、多少なりとも酸化は進んでいると見た方が無難で、精神的なストレスを抱えていればなおさらです。そのために細胞が機能低下し、様々な不具合を生じている可能性は極めて高く、特にエネルギーの生成の衰えが大きければ、間違いなく疲労感が高まります。
加えてもう一つ、活性酸素が免疫システムに与える悪影響も見逃す訳には行きません。私たち人間の表皮には、細菌やウイルスと言った異物を感知するセンサーが張り巡らされていて、花粉やインフルエンザ菌のような良からぬ輩が引っ掛かると、ただちに免疫細胞に通報!! すぐさま免疫部隊が稼働し、戦闘開始となるのが「自己免疫システム」の仕組みですが、活性酸素はこのセンサーを破壊してしまう力も持っているため、紫外線によって増やされると、その感度が衰え、細菌やウイルスから身を守る事が出来なくなってしまうのです。結果、抵抗力の極めて弱い身体になり、すぐに風邪を引いてしまったり、冷房による冷えを促進させたりと、夏バテや秋バテを促進する事になるという訳です。
FFがあればFRもある
ところで、「FF」と聞いて、思わず可愛い愛車の姿を思い出された方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか? 因みに、車のFFとは最もオーソドックスな駆動形式の一つで、「フロントエンジン+フロント・ホイール・ドライブ(前輪駆動)」の略です。
車の場合、センターや後部にエンジンを積んでいる車種もあるにはありますが、多くはエンジンが前方にあって、前輪だけが動くFFです。他には、後輪だけが動くFRか、もしくは4輪全てが動く4WDかになるでしょう。優秀な4輪駆動車の中には、必要に応じてFRと4WDを切り替えられるものもありますが、FFとFRの両方を持つ車両はありません。ところが、人間の体は実に高機能で、FFとFRの両方を採用しているのです。
人の身体が持つFRとは、『Fatigue Recover Factor(ファティーグ・リカバー・ファクター)』、略して“FR”で、日本語に直訳すると「疲労回復因子」となります。その名の通り、FFが細胞を酸化させると、FRがそれを修復する仕組みになっていて、改めて“人間はスゴい!”と感心させられずにはいられません。
つまり、FR(疲労回復因子)を持っている人の体は本来、疲れても回復できるはずで、夏バテや秋バテばかりするものではないのです。ただし、このFRを精製する力は、加齢と共に確実に衰えます。従って、年を取ると疲れやすくなるのは自然の原理だと言えるでしょう。しかしながら、昨今は若い人の中にもFRの精製力が弱く、疲れを蓄積する人が増加しています。
その理由はズバリ、運動不足です。
FR(疲労回復因子)を増やして秋バテを解消せよ!!
FRは元々、FFが発生して初めて精製されるもので、火のないところに煙は立たないのと同様、疲れのない身体にFRは作られません。
さらに、FRは交感神経が活発に稼働した後、副交感神経が優位に立つと多量に発生する事が分かっています。速い話、ある程度疲れた後にしっかり休むことが大事で、メリハリのない生活ではFRによる修復は難しいのです。休みの日に一日中家でゴロゴロしていると、逆に疲れたり疲労が抜けないのはそのためだと言えるでしょう。
そこで、たっぷりの紫外線を浴びてしまった人は、適度な運動をし、しっかりと身体を休めてFRを多量に発生させる事が必要になります。ただし、もうすでに体内にはFFが溢れ返っている状態ですから、それ以上悪化させる事を避けるためにも、一度に長時間、激しい運動をするのはNGです。まずは毎日20分程度、定期的に軽いジョギングやウォーキング、あるいは、柔軟体操をするのが理想。それにより、FRが精製されやすい体になります。
実際、毎日10分から20分程度のジョギングやウォーキングを1週間続けると、FRの生成量が増え、疲労が軽減されるとともに、疲れにくくなる事は、いくつもの実験で明らかにされているのです。また、軽い運動の継続は、夏バテや秋バテの大きな要因の一つである体力不足もフォローしてくれます。より一層夏バテや秋バテの予防や解消にも繋がるという訳です。
そして、毎晩必ず入浴し、ゆっくりと湯船に浸かる事で副交感神経が優位になり、FRのさらなる精製を促してくれます。この毎晩の入浴もまた、冷房で冷えた体を温め、困憊した消化器官と自律神経を整えるという事で、夏バテや秋バテの予防と解消に多大なる恩恵をもたらせてくれるという事を知っておきましょう。
その生活が秋バテを招くのだ〜!!
紫外線が「夏バテ」や「秋バテ」を招くというのは、ちょっと意外な話で驚かれた方も多い事でしょう。こんな風に、私たちの日常生活の中には、思いのほか身体に大きなダメージを与え、疲労の要因となる大敵が多数潜んでいます。そこで、その隠れた敵をしっかりやっつける事で秋バテを防止できる訳です。
その生活が危ない!!
- 室温25度以下の場所にいる時間が長い
- 冷たい飲み物をたくさん飲む
- 脂っこいものをたくさん食べる
- 入浴は湯船に浸からず、シャワーだけで済ませる
- 室内では常に薄着でいる
- 日焼けを気にしない
- ほとんど運動しない
毎年真夏になると、こういう日々(7つの不摂生)を送っておられる方、いらっしゃいませんか?
取り分け男性陣は、休日ともなると、暑いからと言って、運動もせず、パンツいっちょでゴロゴロ! 紫外線なんて気にしない気にしないと、日焼け止めも塗らずにコンビニに行き、冷たいジュースやビールを買って来ては飲む! ついでに夏はスタミナを付けねばと、唐揚げも付け、シャワーで汗を流して寝る! その上、平日は冷房の効いたオフィスで一日中座ったまま仕事をしているという方も大勢いらっしゃるのではないかと思われます。例えここまで極端でなくても、一つ二つ、いや、三つまで思い当たるという方は少なくないでしょう?
そして、こうした日々を送っていらっしゃる方は皆さん、夏バテ知らず! だからこそ、冷房の効いた部屋でも薄着で快適に過ごせ、飲みたいものを飲みたいだけ飲んで、食べたいものを食べたいだけ食べられるのです。これが元々冷え性や胃腸虚弱の方になると、夏でも冷たい物や脂っこい物を体が受け付けません。また、身体が冷えると辛いという事で、冷房の温度を調節したり、防寒をしたり、お風呂で暖まったりと、様々な対策をします。そのお陰で、無駄な体力の消費と自律神経の乱れを防ぎ、秋バテを防ぐ事ができるのです。
言われてみればなるほどと思われませんか? 夏だからと言って、冷たいものばかり飲んではいけないとか、裸で寝てはいけないとか、ゆっくりお風呂に入りなさいとか、子供のころ、お母さんやおばあちゃんに注意された記憶のある人もいらっしゃるでしょう。でも、大人になると、煩く言われる事もなくなり、ましてや一人暮らしの人なら、食べたい放題、飲みたい放題、ついでに脱ぎたい放題で、めんどうな事は全てパスなのですから、身体は溜まったものではありません。やはり日々の生活を見直すことも、重要なな秋バテ予防だと言えるでしょう。
秋バテ防止は入浴から
先の7つの不摂生は、無駄な体力消費や自律神経の乱れを促進し、さらに身体に多量の疲労原因物質 FFを作る事で、秋バテの要因となります。とは言え、猛暑を乗り切るためには、ある程度は部屋を冷やす事や水分補給をする事も必要で、それを怠ると熱中症になってしまいます。そこで、まず、熱中症対策に支障のないところから改善して行きましょう。
最初にオススメするのは、熱中症対策に影響をもたらす可能性が低い「入浴」です。
入浴は、屋内外の温度差によるストレスと体温調整で疲労困憊してしまった自律神経を癒やすと同時に、冷房で冷えた身体を温め、血行を促す効果効能も持ち合わせています。自律神経が整えられ、血行が良くなると、消化器官の動きも良くなり、食欲不振も改善されます。加えて、疲労回復物質のFRを多量に作り出してくれるという事で、真夏でもゆっくりと湯船に浸かることは非常に大事。それにより、日々の体温調節が容易になるだけでなく、内臓機能も正常に保つ事ができますから、秋まで良好な心身を維持できるのです。
ところが、それがシャワーを浴びるだけとなると、何の意味も持たなくなってしまいます。確かに身体表面の汚れは落とせますが、体内の汚れまで排出する事はできず、新陳代謝や血行を促す事ができません。そして何より、シャワーを浴びるという行為は、交感神経を刺激する行為で、自律神経を癒やすどころか、高ぶらせてしまうのです。これではFRも精製できないという事で、秋バテ対策としてはNG!! どうしてもシャワーしか浴びられない場合には、最初に2分以上全身に38度から40度のお湯を浴び、その後に頭や体を洗うようにしましょう。これにより、身体を多少暖める事はできます。
39度のお湯で、一日15分の入浴を!
入浴とシャワーの違いを、ご存知ですか?
- 入浴でリラックス効果が得られるのは副交感神経が優位になるため
- 暑いシャワーを浴びると目が覚めるのは交感神経が優位になるため
実は、秋バテ防止においては、この違いが大きなポイント。
交感神経をフル稼働させてストレスと闘いながら必死に体温調整していた自律神経を緩めてあげると共に、疲労回復物質のFRを発生させなければならない訳ですから、副交感神経を引きずり出す事が必要なのです。にも関わらず、交感神経を刺激するシャワーを浴びるだけで済ませるのは逆効果だという事は言うまでもないでしょう。
ただし、ならばと言って、40度を超える高温のお湯に10分以上浸かるのもダメです。何故なら、暑いお湯に浸かって体が温まりすぎると、やはり身体は体温を下げようと交感神経が稼働し、発汗を促したり、末端からの放熱に勤しむからです。これでは、昼間と全く同じ状態で、神経は休まりません。
かと言って、ぬるすぎるお湯もまた体を冷やすため、今度は体温上昇に努めねばならず、同じように交感神経は休まらないのです。しかも、身体を温めるには産熱する必要があり、そのためには筋肉運動が必須となり、無駄な体力消費にもなってしまいます。
38度から40度、体温よりやや高めの温度のお湯に約15分間浸かるのが理想です。
これにより、身体は緊張から解放され、副交感神経が優位になります。そして、身体は深部までしっかりと温められ、全身に綺麗な血液と疲労回復物質が行き渡るのです。
実際問題、体力のある人は身体の冷えを感じにくく、だからこそ、元気でいられる訳ですが、ガンガン冷房を入れている部屋で仕事をしていて体が冷えていないはずがありません。自分自身で気付いていないだけで、体は必死に体温調整に勤しみ、体力を消費しています。また、通勤や通学だけでもかなりの量の紫外線を浴び、疲労原因タンパク質が大量発生している可能性も高く、それらが燃え尽き型秋バテの引き金となっているのです。
そこで、元気に秋を迎えるためには、毎日の入浴と適度な運動、このセットメニューが非常に大切になります。
食後にウォーキングをし、入浴して、常温の水をコップ1杯飲んで就寝すると、活動と休息のメリハリがしっかり付けられ、自律神経が安定するとともに、よりいっそうFRの精製を促す事ができます。
とは言え、中々そうした理想的な生活スタイルを極める事は難しく、下手に拘ると逆にまったく出来なくなってしまう可能性も大ではないかと思われます。このため、まずは、毎晩お風呂に浸かってから寝るという事だけでも習慣化する事が大切です。それにより、秋口の疲労度は随分違って来る事でしょう。
食欲不振を無理に克服するのは危険
『秋バテ』攻略法、後半は飲食面でのケアです。夏バテや秋バテを克服するには、しっかり食べる事が大事! そう思い込んでいらっしゃいませんか? だとしたら、その思い込みが一層、状況を悪化しているのかも!?
夏は食べられなくて当たり前
人は動けばスタミナが消費される訳ですから、おなかが空くのは当然です。とは言え、体力が消費され、余力が乏しくなると消化に回す力が不足します。その上、疲労原因タンパク質のFFが酸化を促進し、内臓の機能低下が輪を掛ければ、食欲が減退するのもまた自然の原理だと言えるでしょう。
ところが、疲れている時こそ、しっかり食べなければと思い、無理にスタミナの付きそうなものを沢山食べようとされる方は少なくありません。また周囲も、疲れている時ほど美味しいものを食べて元気を出すようにと勧めがち。さらに、夏バテ防止を口実に、高カロリーの焼き肉や唐揚げをもりもり食べておられる中高年の方もいて、本当に困ったものです。
確かに、学生時代に体育会系の部活やサークルをやっておられた方は、ヘトヘトになるまで練習した後、丼鉢に2杯・3杯とごはんを食べた記憶があるものと思われます。しかし、その一方で、社会人になって仕事で疲れ果てると、食欲が衰えるという経験をされた方も多い事でしょう。つまり、体は年月を重ね、変化しているのです。速い話、激しい運動をした直後でも食欲旺盛だったのは、疲労回復物質のFRがどんどん精製されていたからであって、まさしく若い証拠だったのです。
けれど、FRの精製力は加齢とともに衰えるため、30代・40代に入ると、そうはいきません。疲労が蓄積されると食欲が減退するのも当然! 特に体温調整に体力を費やし、暑さと紫外線でFFが体内を支配している状態の夏場は、食欲が出ない方が健康体だと見るべきなのです。
胃液は毒薬
真夏の暑い盛りでも、人は飲み食いします。そのため、胃は四苦八苦しながら蠕動(せんどう)運動を繰り返し、消化に勤しんでいる訳ですが、そんな胃の消化を一手に引き受けるのが「胃液」です。胃液の中身は、「ペプシン」と「リパーゼ」という2つの酵素に「塩酸」を加えた強力な酸性の液体。特に塩酸は、除菌・殺菌をうたった洗剤には必ず配合されている恐ろしい化学物質ですから、胃液は立派な毒薬だと言えるでしょう。
この塩酸は飲食物の雑菌を退治するには必要不可欠で、その強力な溶解力により、多くの食物を溶かす役割も担っています。ただし、肉やゆで卵に塩素系の洗剤を掛けても溶けません。そう、タンパク質や脂質が多いと、塩酸だけでは太刀打ち出来ないのです。そこで、タンパク質を分解するための専用要員としてペプシン、脂質を分解する専用要員としてリパーゼという酵素が胃液に含まれている訳ですが、特にペプチンは強い酸性の中で活性化する性質を持っているため、やはり塩酸の力があっての物質だと言えます。
夏は胃が危ない
塩酸プラス消化酵素で作られる胃液は、もはや何者でも溶かせる液体と見ていいでしょう。そして、人体にはなくてはならない大切な体液の一部ですが、活性酸素と同様、やはりその毒性を考えると、過剰に持つのは危険です。
何しろ、私たちの身体を形作っているのはタンパク質。となると、そのタンパク質を溶かす作用をもつ胃液は恐ろしい存在です。実際、胃液が胃そのものを溶かしてしまう事もしばしばで、胃が痛いと感じたら、胃液によって胃の一部に損傷を負っている可能性があります。
ただ、私たちの胃は、元々強力な胃液を放出する事を前提に作られていますから、ひときわ再生能力の高い特殊な細胞で構成され、さらにその周囲は、強いアルカリ性の「炭酸水素ナトリウム」を含む粘膜で覆われています。つまり、胃酸がこの粘膜に接触すると中和され、胃本体が傷つけられるのを防ぐとともに、例え胃壁が溶かされても、短時間で復活できる仕組みになっているのです。
しかし、多量の胃液が出過ぎると、この中和が間に合わなくなり、さらに、過度のストレスや疲労で細胞の機能が低下していれば、ここでもまた泣きっ面に蜂状態! たちまち胃壁は大きなダメージを受けてしまいます。これが疲れやストレスで胃炎や胃潰瘍を発症する理由で、ただですらも心身の疲労が蓄積されやすい夏場は、そのリスクが高いと言えるでしょう。
そこで、何が何でも胃酸過多を抑えなければなりませんが、胃がこのようなピンチに陥っているのにも関わらず、脂っこいものや高タンパクなものを沢山食べるとどうなるでしょうか? それを消化するために、益々胃酸は分泌され、状態は悪化します。そして、そのツケは秋に回って来るのです。
秋口によく感じる胸焼け、それは何を隠そう、胃酸過多の典型的症状!! もはや胃で貯留しきれなくなった胃酸が食道に溢れ出し、胸部の不快感を引き起こしているもので、放置しておくと、「逆流性食道炎」にもなりかねません。
さらに、溢れた胃酸が腸に流れこめば、当然のごとく、さらなる消化不良となり、もはや食べたくても食べられない重度の食欲不振に見舞われます。そして、「十二指腸潰瘍」の要因にもなりかねないのです。
という事で、暑い時季に食欲がある程度なくなるのは身体の望むところで、そこそこ食べられる状態であれば特に心配する必要はないでしょう。
体の要求に応じ、本当に必要なものを必要量だけ食べればOK! スタミナの事など深く考える必要はありません。むしろ、スタミナの付きそうなものは、とかく脂質を多く含みがちで、それを処理する消化器官は一苦労なのです。そして、それがさらに胃腸の不調を招き、夏バテや秋バテを招く要因になるという事を覚えておきましょう。
秋バテをもたらす胃もたれを克服するには?
夏バテにも『秋バテ』にも付きものの食欲不振ですが、夏バテの食欲不振と、秋バテの食欲不振は、メカニズムが微妙に異なります。症状も微妙に異なるため、その違いによって、夏バテか? 秋バテか?が分かります。
また、夏バテから秋バテに移行した事に気付く事も可能でしょう。
夏バテの食欲不振と秋バテの食欲不振の違い
夏から秋に掛けての食欲不振は、主に消化に回す体力の不足によって引き起こされ、胃の中は処理を待つ食物がたっぷりと詰まった状態です。速い話、必要量の胃液を放出し、蠕動運動をしながら拡散して分解するという作業が円滑に進まないために、中身をなかなか片付けられないでいるのです。そうなると、胃が重たくなるのは当たり前で、これが典型的夏バテや秋バテの症状の一つである「胃もたれ」になっているという訳です。
そこで、胃もたれを解消するには、胃の蠕動運動と胃液の分泌を活発にしなければならず、その対処法として、取り敢えず食べるという策があります。胃がもたれて辛いのに食べるのは逆効果なのではないかと叱られそうですが、これ、ほんとの話! 実は私たちの胃は、食物が取り込まれた時点で、底にあるG細胞という部分から「ガストリン」というホルモンが分泌され、このガストリンが胃壁を刺激し、胃液が放射される仕掛けになっているのです。従って、食べなければ胃液は増えませんから、益々消化不良は進むのです。
とは言え、胃液がいくら増えても、胃の蠕動運動が活発にならなければ中身を片付ける事はできません。それどころか、胃の動きが悪く、大量の胃液を必要としないのにも関わらず、ガストリンが多量に分泌されると、胃酸過多となって溢れ出してしまいます。すると、胸焼けを発症する訳で、特に胃の疲弊が本格化している夏の終わりから秋口に掛けては要注意。典型的秋バテによる食欲不振に繋がります。
そう、夏バテの不調は胃もたれ止まりなのに対し、秋バテは、胃そのものより、食道のある胸部、みぞおち付近から肋骨の辺りに不快感を感じたり、食べたくても食べられないほど重度の食欲不振に陥るのが大きな特徴です。因みに、食欲が激減するのは、胃液が腸内に流れ混むと胃酸過多になっている事に気付いたガストリンが、胃液の分泌をストップさせるから。つまり、秋バテになると、これ以上胃をこき使う事など出来ないという事なのです。
秋バテを呼ぶ胃もたれを防ぐには?
という事で、それまで元気で食欲旺盛でも、度々胸焼けするようになれば、秋バテを発症していると見ていいでしょう。特に空腹時に酸っぱいものがこみ上げてきたり、胸部に刺激を感じる場合は、その可能性大! また、胃もたれが続いた後に胸焼けが出れば、夏バテから秋バテに移行しています。いずれにせよ、とにかく胃への負担を軽減し、一日も早く正常な胃液の分泌と蠕動運動を取り戻せるように努める事が必須です。そのためには、やっぱり食べ物を入れ、ガストリンを分泌させて胃液を出す事は必要不可欠なのですが、その一方で、疲労を原因とする胃の蠕動運動の不良という問題を抱えている訳ですから大変! 何とも厄介な状況で、特にスタミナ不足の夏場は、どうする事も出来きません。
となると、暴飲暴食・早食いを防ぎ、且つ、脂っこいものや刺激の強いものを控える事で、8割程度の蠕動運動でも十分消化できるように考えるほうが賢明です。それにより、胃もたれが防げ、さらに、消化に良いものを適量食べる事でガストリンの分泌も抑えられますから、胃酸過多による胸焼けも防げます。
特に胃もたれの強く出ている時は、食事の量を減らし、なるべく白がゆや素うどんのような薄味で且つ、柔らかいものがお薦め。また、柔らかくタンパクな味で栄養価の高いヨーグルトや豆腐は、是非食べたいところです。
さらに、あっさり味で口当たりが良く、食べやすい大根おろしやとろろは、絶好の夏バテ&秋バテ解消メニューと言えます。というのも、大根や長芋・山芋には、唾液にも含まれている「ジアスターゼ」という酵素を含んでいて、胃の消化活動を助けてくれるからです。ただし、多くの酵素は熱に弱く、加熱すると破壊される上、空気に触れると酸化する性質を持っていて、ジアスターゼも決して例外ではありません。ですので、生で食べる事と食べる直前に調理する事が条件。そういう点でも、すりおろしはベストだという訳です。その他、大根の場合は、同じく消化促進作用を持つクエン酸やリンゴ酸を含んだ柑橘系やリンゴなどの果実と一緒に、スムージーや野菜ジュースにしてもいいでしょう。
一方で、生卵は消化が悪いため、加熱し、半熟のゆで卵や炒り卵などにするのがお薦めになります。また、食物繊維の多い野菜類も消化に手間取るため、煮る・蒸す・茹でると言った油を使わない加熱調理で柔らかくしてから食べるようにしましょう。
さらなる胃もたれ解消法は?
胃もたれを防げれば、かなりの高確率で胸焼けも防げ、秋バテの解消や軽減、そして、予防が期待できます。そういう点では、胃もたれを感じた時に、市販の胃薬を飲むのも悪くはありません。ただし、この段階では、取り敢えず胃の内容物が十二指腸に送り込まれれば解決する訳ですから、消化を促進する「消化酵素剤」を主成分とした胃薬を単発的に飲むようにしましょう。
加えて、胃の働きを調節している副交感神経を優位にする事も重要で、特に交感神経が活発になりやすい夏場は、毎晩きちんと入浴し、自律神経を整えるのが必須条件となります。
さらに、胃もたれを防止するには、飲食物に気を配るだけでなく、食事のタイミングにも気を配る必要があります。胃がコンスタントに胃液の分泌と蠕動運動を繰り返せるようにするためには、余計な時に刺激を与えない事が重要で、1日3食、朝・昼・夜と、ある程度決まった時間に決まった量の食事を取る事で、状況は一気に改善するでしょう。もちろん、就寝前の食事は厳禁!!
その他、よく噛むことで、食べ物を分解してから胃に送り込めますから、消化器官の負担が軽減されます。そう、寝る前に食べてはいけないとか、よく噛んで食べるとかというのも、やっぱり子供のころに周囲の大人たちから嫌というほど聞かされた事です。それを忘れてしまったために夏バテや秋バテに苦しめられる羽目になったのかも知れませんね。
秋バテをもたらす胸焼けを克服するには?
胃もたれが主流の夏バテとは異なり、「胸焼け」なるものが付帯しがちなのが『秋バテ』の大きな特徴の一つと言えるでしょう。そこで、その攻略法を熟知し、適切な対処をする事が大切になります。
胸焼けに見舞われたらどうする?
まず、胸焼けを感じた場合には、常温の牛乳を飲むのが効果的! 食道の胃液を洗浄してくれると同時に、食道に粘膜を張り、胃酸の攻撃から周囲の細胞を守ってくれます。もし、牛乳がない場合には、水でも取り敢えず胃液の洗浄が出来るのでOKですが、緑茶やコーヒー・紅茶のようなカフェインを含む飲料は、胃液の分泌を促進するため、厳禁です。
さらに、外出先で胸焼けに見舞われた場合は、チューインガムを噛むようにしましょう。ガムを噛むと、胃酸を中和する作用を持つ中性の粘液を含んだ唾液の分泌が活発になり、食道へと送られ、食道を洗浄することができます。
とは言え、これらはあくまでも突如胸焼けの襲撃を受けた時の応急措置であって、解消法ではありません。胸焼けを克服するには、やはりガストリンの分泌を抑え、胃酸過多を改善するしかなく、それには、日々の食生活をきちんと見直す事が必要になります。少なくとも、胃もたれと同様、暴飲暴食と早食いを慎み、脂分の多い食品や刺激物を控えるのは絶対条件です。
胸焼けを防ぐには?
と、ここで一つ、胸焼けは胃酸過多が原因なんだから、それこそ絶食が最良の改善策では? そう考えられる方もいらっしゃるのではないかと思われます。実際、胃もたれは胃酸が不足しているのが原因のため、食べて胃酸の分泌を活発にしなければなりません。しかし、胸焼けは正反対なのですから、食べずに胃酸の分泌を抑える事が望ましいようにも感じられます。
しかし、もうすでに胃酸が多量に出ている状態なので、今、胃の中を空っぽにすると、分解物を失った胃液は、たちまち胃そのものを攻撃し始めます。そうなると、胃粘膜による中和が間に合わない上、いくら打たれ強い細胞でも太刀打ち出来ず、たちまち胃壁は荒らされるでしょう。追って、胃炎や胃潰瘍に進行するため、やはり上手に食べて治すようにする事が絶対なのです。とは言え、食べ物や食べ方を誤れば、胃酸過多は悪化し、今度は逆流性食道炎や十二指腸潰瘍を発症します。
これは、胃もたれ以上に気を付けなければなりません。そして、胃もたれに増して控えるべき飲食物が多くあります。
先にも書いたように、カフェインが含有されているコーヒーやコーラなどの飲料を飲んだり、チョコレートを食べたりすると、ガストリンが刺激され、益々胃液の分泌を促進しますから厳禁です。さらに、胃もたれの解消にはお勧めのクエン酸を豊富に含んだ柑橘類やお酢などの酸性の食品や飲料は、食道の炎症に輪を掛ける事になるのでNGです。また、濃厚な味わいの料理や辛い料理、あるいは、暑いものや冷たいものも食道の粘膜を刺激し、状況を悪化させます。
加えて、脂肪分の多い肉や魚、繊維質の多い野菜類もちろん、イカやタコ・貝類のような軟体系やきのこ類も、思いのほか消化に手間取る食材なのでやっぱり駄目。さらに、糖分や塩分を多く含む食品や料理は、胃で溶けて液体になると、浸透圧によって食道に流れ混む可能性があるため、控えるのが賢明でしょう。
とは言え、糖質は三大絵要素の一つで、私たちのエネルギー原ですから、完全に絶つ訳にはいきません。そこで、ご飯や麺類のような柔らかめの炭水化物で補うようにしたいものです。これら炭水化物は、胃に到達する前に唾液の中に含まれる「アミラーゼ」という消化酵素によって分解されるので、胃が処理する手間を大幅に軽減出来ます。ただし、故に胃の中では殆ど分解されないという盲点を秘めているため、十二分に噛んでから飲み込む事が重要です。
さらなる胸焼け解消法は?
さらに胸焼けの場合は、食事だけでなく、寝ても起きてもあれこれ気を配る必要があります。例えば、夜寝る時には、枕のように頭だけを高くするのではなく、上半身全体を15センチから20センチ程度かさ上げするのがお薦め。そうして、胸から腹部に掛けて勾配が出来るようにすると、就寝中の胃液の逆流を防げます。
また、前屈みになると食道が胃より下の位置に来てしまい、胃液が流れ込みやすくなるので要注意です。普段から姿勢の悪い人は勿論、長時間デスクワークをする際やテレビを見ている時などでも、常に姿勢を整えるように心がけましょう。どうしても前屈みにならなければならない場合には、食後一段落してから体を倒すようにし、出来るだけこまめに背筋を伸ばすようにしたいものです。
その他、下腹部を圧迫しないのも大切で、ベルトやコルセットの絞めすぎはいけません。そして、秋バテで胸焼けを感じたら、早期に市販の胃腸薬を服用するのも適切な対処の一つです。逆流性食道炎が本格化し、医療機関を受診すると、胃酸の分泌を抑制する「H2ブロッカー」という薬が処方されますが、このH2ブロッカーは多くの製薬会社から市販薬としても出され、一般の薬局やドラッグストアでも必ず数種類は売られています。
【第1類医薬品】ガスター10
胸焼けが辛い時や早急に解消したい時には、H2ブロッカー飲むのもあり!! そして、市販薬で効果が感じられない場合は、本格的な逆流性食道炎に発展している可能性が高く、その一つの目安にもなります。その場合は当然、医療機関を受診し、適切な治療を受けるとともに、さらに強いH2ブロッカーを処方してもらうようにしましょう。
体は常温の水を欲している
胸焼けに見舞われた時には、常温の水を飲んで食道を洗浄する事で状況悪化を防げます。実は、この「常温」というのは、胸焼けだけにとどまらず、秋バテ全体を克服するための一つのキーパーソンなのです。
常温の水とは?
秋バテ対策においては、食事への気配りも大切ですが、飲み物に気を付ける事も一つの大きなポイントになります。何故なら、夏の終わりから秋の初めに掛けては、まだまだ残暑が厳しく、熱中症対策として十分な水分補給が必要不可欠だからです。
しかし、だからと言って、いつまでも冷たい飲み物ばかり飲んでいると、胃の不調は一向に改善されません。というのも、暑い時季に口が好む水温と胃が好む水温、そして、身体が欲する水温は異なるのです。心が欲するのは口が好む冷たい水。ところが、体が欲しいと思っているのは胃が好む常温の水や暖かいお湯で、この温度差が思いのほか大きかったりするのです。
ちなみに、水の常温というのは日本の場合、季節や地域によって大きく変わり、まさしく所変われば、ひとそれぞれ! 取り敢えず水道水を基準に考えると、都心部では真冬は触るだけで手が凍りそうになるほど冷たく、真夏は蛇口をひねるとお湯が出て来るほど暖かいため、その中間辺りの15度から20度を常温と捉えられる方が多いようです。けれど多くのウォーターサーバーは、冷水が5度から10度、温水が80度から90度に設定されていて、常温の水が出る機械はほぼありません。しかも、その中間の温度となると、人肌以上の暖かいお湯という事になってしまうでしょう。
このため、多くの業者は、水の常温は20度から35度の範囲としています。さらに、水は0度で氷になる訳ですが、その寸前の5度以下だと完全なる冷水になり、真夏でも一気に飲むと頭が痛くなる事があるため、日本人が最も美味しいと感じる冷たい水の温度は夏場で5度から10度、冬場で10度から15度。また、100度で沸騰する水は、90度を超えると触れれば大やけどする熱湯ですから、同じく最も美味しいと思える暖かいお湯の温度は、夏場で70度から80度、冬場で80度から90度と考える業者が多いようです。となると、大半のウォーターサーバーは、夏はちょうどいい冷たさの水、冬はちょうどいい熱さのお湯が飲めるものの、それ以外の季節は、ちょっと冷たかったり熱かったり、温かったりするのかも知れません。
心が欲しいのは冷たい水、体が欲しいのは常温の水
いずれにせよ、水の常温というのは、思いのほか高温で、真夏は水道を捻れば出てくる生ぬるい水、これこそが常温の水という事になりそうです。しかし、暑い時季やスポーツで汗を掻いた後に飲む一杯の冷水はとにかく美味しい! 何物にも代えがたい絶品グルメですが、夏に生ぬるい水道水を飲んで美味しいと感じられる方は少ないでしょう。そこで、多くの冷水機が5度から10度の範囲の水が出るように設定されている訳です。
ところが、この温度帯の水を多量に摂取すると、体温は急激に下がります。そこで、身体は体温を上げるために体力を使わなくてはなりません。その上、冷水は吸収が速いため、胃の温度も急激に下がり、消化器官の血流まで悪くなりますから、血と力のダブルパワー不足で、胃の蠕動運動は完全に衰退してしまうのです。
その点、常温の水は、美味しいとは言いがたいものの、体温や胃の温度を下げる心配がなく、身体は最も安心して受け入れられます。そう、身体が欲する水の温度と、心が欲して口が好む水の温度は違うという事なのです。
また、60度から70度程度の温水も、胃への負担は少なく、体温を上げるため、冷房の効いた室内で飲むには嬉しい温度。ですが、80度以上になると、体温が急上昇する上、再び胃への負担が大きくなり、夏バテや秋バテ対策にはそぐわなくなります。つまり、触って思わず手が痛くなったりやけどするような冷水や熱湯は、当然ですが、デリケートな胃や食道の粘膜には大敵で、特に胃もたれや胸焼けを生じている時には進入禁止と言えるでしょう。
是非とも禁酒・禁煙も
夏バテや秋バテを防ぐには、夏場でも、出来る限り冷水を避け、常温や暖かい飲み物を飲むようにすることが大事です。
ただし、すでに熱中症寸前という場合には、体温上昇状態にありますから、冷たい水を飲んで下げる事が必要になります。ですが、その場合も、一度に大量の水を飲むのではなく、200cc程度に抑える事で、胃がさほど手間取る事なく消化吸収できます。その代わりに、朝起きて1杯、就寝前にも1杯という形で、こまめにコップ1杯の水を飲むのが理想。特に、就寝前に暖かいお湯を飲むと副交感神経が引きずり出され、良質な睡眠とともに疲労回復物質であるFRの生成が高まりますからお薦めです。
と、ここで気になるのが、夏にはひときわ美味しいキンキンに冷えたビールです。実際、ビールは、「ワインに負けないビールの健康効果」でもご紹介したように、今やサプリメント級の健康効果を持つ飲料。どんどん飲みたいところでしょう。
しかし、ビールはガストリンを刺激し、胃液の分泌を活発にする作用を持っています。その上、キンキンに冷えた飲料となると、胃の温度の急降下による血行不良が促進し、蠕動運動を妨げる事は言うまでもありません。そのため、胃もたれの段階では、1日1本の缶ビールが功を奏する事もありますが、胸焼けを発症した段階では逆効果! コーヒーやコーラと同じように、状況を悪化させるため、しばし禁酒!! ついでにタバコも危険という事で、禁煙とするべきなのです。
疲労に強い心身を作って秋バテを克服しよう!
『秋バテ』は夏場の不摂生の賜ですから、克服するには食生活や日常生活をある程度見直す事は必須でしょう。そして、それプラス、体力を付け、自律神経を整える事で完全に打ち勝てるものと思われます。
実は疲労回復物質のFRは外部調達できる
とは言え、
今さら体力を付けるのが、どんなに大変か!?
上手にストレス解消し、自律神経を安定させるのが、どんなに難しいか!?
身をもって実感しておられる方も多い事でしょう。
となると、
いかに体力を上手に使い、温存するか!?
いかに自律神経を上手に癒やし、安定させられるか!?
これがベターな秋バテ対策となりそうです。
加えてもう一つ、疲労に強い心身になる! これが何より大事でしょう。
ではでは、どうすれば疲労に強い心身を作れるのか? それを考える時、一つの大きなキーパーソンとなるのが疲労回復物質であるFRを増やす食材です。そんなものがあるのかと思われるかも知れませんが、実はあるんです。
皆さんは、「イミダゾールジペプチド」という名前を聞いた事ありませんか?
“イミダペプチド”と呼ばれる事も多いイミダゾールジペプチドは、その名の通り、「イミダゾール基」と呼ばれる化学構造を持つ2つのアミノ酸が綺麗に繋がって出来ている物質の総称です。代表的なものとしては、次の3種類。
- β-アラニン+L-ヒスチジンで作られた「カルノシン」
- β-アラニン+メチル化されたL-ヒスチジンで作られた「アンセリン」
- β-アラニン+3-メチル-L-ヒスチジンで作られた“オフィジン”とも呼ばれる「バレニン」
いずれも動物の体内に吸収されると、血中で速やかに個々のアミノ酸に分解され、後に骨格筋に移行した時、強い抗酸化作用を発揮します。つまり、FRを作ると言うより、FRそのものの役割を果たしてくれるのです。
大地を渡る旅を支えるイミダゾールジペプチド
そんなイミダゾールジペプチドは、多種多様の動物が持っていて、体内で最も酷使する部位に豊富に存在しています。人の場合だと、脳と骨格筋に多く貯留されていますが、大空を飛び回る鳥たちの場合には、羽の動きを司る旨の筋肉に集中的に存在している訳です。また、運動量によっても当てがわれている量が異なり、よく動く動物には沢山あって、あまり動かない動物には少ないという特徴も持っています。
特に、季節ごとに大地から大地へと大空を旅する渡り鳥たちにとってはなくてはならないスタミナ原!!
中には、北極圏から南極圏まで一気に飛ぶ鳥もいるそうですが、その胸部の筋肉には十二分なカルノシンが存在し、不眠不休の飛行を支えています。また、同じく大陸から大陸へと海底を旅するマグロやカツオたちもイミダペプチド豊富な生物!その赤身は尿酸値を下げる効果を持つアンセリンの宝庫です。
一方で、激しい運動を殆どしない牛や豚はイミダゾールジペプチドの含有量が極めて少なく、人間もまた、決して多いとは言えません。そこで、鶏の胸肉やササミ、あるいは、赤身の魚を食べる事で彼らのパワーをお裾分けしてもらい、元気になれるというわけです。
因みに、バレニンは、今では幻の高級食材になってしまったクジラがふんだんに持つイミダペプチド。クジラもまた、海中を1年に何万キロも旅する回遊生物で、自らの体内で合成したバレニンをスタミナ源にして悠々と荒波の中を泳いでいるのです。そして、食糧難の時代には、多くの日本人の肉体も支えて来ました。太平洋戦争の惨敗で壊滅状態にあった日本列島がここまで立派に復興出来たのは、彼らの恩恵も大きかったものと思われます。
しかし、今ではクジラをいただく事は難しく、マグロやカツオも徐々に庶民の食卓から遠のく気配を感じさせています。そうなると、やはり頼みの綱は鶏たちという事で、その胸肉やササミは絶好の秋バテ対策食材! 特に鶏の胸肉は100g食べれば、1日に最低限摂取したいイミダゾールジペプチド200mgを取り込む事ができます。200g食べれば約400mgの補充と、疲労回復には文句なしです。しかも、鶏の胸肉やササミは脂肪分が少なく、胃への負担の少ない食材でもあります。
イミダゾールジペプチドを摂取して元気に羽ばたこう!
大人も子どももみんな大好きな唐揚げ。同じ唐揚げやフライにするにも、鶏もも肉より断然ヘルシーな鶏胸肉やササミが絶対的にお薦めなのですが、せっかくのヘルシー素材も、脂たっぷりの揚げ物や炒め物、あるいは焼き物にしたのでは価値が半減してしまいます。
そこで、最もお薦めの食べ方が、鶏胸肉をじっくりコトコト煮込んだスープ! 鶏胸肉を30分程度煮込む事で、スープ中にイミダペプチドが流出し、歯の弱いお年寄りでも容易に摂取できるようになるのです。
また、牛乳で煮込んだシチューも美味しいでしょう。消化に困難なセロリやゴボウなど、食物繊維豊富な野菜も一緒に煮込んでとろとろにする事で、栄養満点で且つ、消化のいい一品の出来上がりです。
と、ここで、一つ忘れてならないのが、イミダペプチドは、薬のように食べてすぐに効くものではないという事です。
その効果が現れるまでにはおよそ2週間程度掛かる事が分かっていて、まさに継続は力なり! 毎日取り続ける事で疲労に負けない身体作りが出来るのです。
秋バテを防止するには、夏の終わりから食生活を見直す事が大切で、それを継続すると、年末年始の多忙な時季も元気に乗り切れるという訳です。
『秋バテ』に注目して夏の終わりから秋の初めを過ごさねばと思われた方は多い事でしょう。
しかし、暴飲暴食をしないとか、適度な運動をするとか、毎日お風呂に入るとか、決して特別な事ではなく、私たち人間が本来過ごすべき日常生活であり、食生活であるのかも知れません。
それが、必要に迫られて強いられるのは、ある意味幸運な事かもしれません。名コーチが、勝手にやってきてくれたようなものです。
これを期に生活習慣の改善をすればきっと、今年の終盤戦は楽勝なのではないでしょうか?
<ライター:健康通(けんこうどおり)>