私たち現代人は、病気になるとすぐ薬に頼ってしまいがちですが、かつて、人々は食べ物や野山に生えている草木をさまざまな方法で薬として用いていました。中国ではこれらを漢方薬として体系化していますし、日本でも、野菜や草木を使った民間療法が最近になって徐々に見直されてきています。
今回は、漢方として用いられてきた野菜をいくつか挙げ、効能などを簡単にご説明していきたいと思います。
ほうれん草
貧血といえばレバーかほうれん草かというほど、ほうれん草は鉄の多い野菜です。また、鉄のほかにもビタミンA・B1・B2・Cなどが豊富で、葉が柔らかく刺激が少ないため、病人や老人でも安心して食べられます。根に近い赤い部分には、骨形成に必要なマンガンが多く含まれています。
ただし、ほうれん草の生の青汁で喘息の発作が出ることもあるので、必ずゆでてから食べるようにしましょう。また、胃腸の弱い方は多食を避けるのがベターです。
アシタバ
暖かい海浜に育つ植物で、房総半島・三浦半島・伊豆七島などに生育し、「不老長寿の妙草」ともいわれています。セリ科の多年生草本で、高さは1mほどになります。
若芽や若葉、つぼみを天ぷら・おひたし・ごま和え・吸い物などにして食べます。
アシタバやクコなどの繁殖力の強い植物は、昔から強壮作用があり、疲労回復などに効果的といわれています。
しそ
肉や魚の生臭さを消すだけでなく、刺身といっしょに食べると毒を消すともいわれています。
神経痛・不眠・喘息などにも効果があり、精神安定の作用もあります。切り傷などの場合は、しその葉をもんでから傷口に貼り付けると化膿せず、傷跡も残らなくなるといわれています。
また、しその実油に含まれているαリノレン酸には動脈硬化を防ぐ作用があります。
ショウガ
新陳代謝を高め、体全体の機能を亢進させ、病気の治癒を促す効果があります。
ショウガのおろし汁には殺菌作用があるため、魚や肉などの中毒に効くといわれています。また、風邪にもよく効くことで知られています。
しいたけ
ビタミンD・B1・B2などを豊富に含み、体によいとされています。カルシウムの吸収を助けるビタミンDの含有量は、生よりも干ししいたけのほうが豊富です。
また、フィトステリンという成分がコレステロールを減らし、動脈硬化を予防します。抗腫瘍性もあるため、ガンにも効果的といわれています。
にんにく
ヨーロッパでは、高血圧や動脈硬化に効くといわれています。ただし、生のまま食べると胃腸への刺激が強く、障害を起こしやすいので、焼いて食べたり、肉や魚といっしょに食べたりするほうが無難です。
ご存じのとおり、日本でも滋養強壮・疲労回復によいとされてきています。
知っておけば役に立つかも!?
このように、普段なにげなく口にしている野菜のなかでも、古来より薬としても用いられてきたものは意外と多いということがわかります。どういった症状にはどんな野菜が効くのかということを少し頭に入れておくと、ちょっとしたときに役に立つこともあるかもしれませんね。