体によい成分を求め、食品業界に限らず医薬品の世界でも注目されているきのこですが、おいしくて健康にも役立つ新顔きのこが次々と栽培されてきています。
今回は、低カロリーで食物繊維が多く、免疫力の活性などにも期待できる新しいきのこの数々をご紹介します。
エリンギ
エリンギに豊富に含まれるトレハロースは低カロリーな糖で、美肌効果や骨粗鬆症予防にも役立つことがわかっています。
ビタミンの一つであるナイアシンも多く含まれ、皮膚や粘膜を健康に保ち、アルコールの解毒にも働きます。
淡白なので和洋中どんな料理にも使え、組み合わせる食材を選ばないオールラウンダーともいえるきのこです。
縦に切ると加熱しても食感が保てます。
イタリアや地中海沿岸に分布しているエリンギが、もともとは日本にはないきのこにもかかわらず、日本でここまでポピュラーになったのは、人工栽培が成功・普及したおかげに違いありません。
ヤマブシダケ
免疫力を活性化させるβグルカンがアガリクスの3〜4倍も含まれているので、さまざまな病気を予防し、疲れやストレスを軽減します。
ヤマブシダケの脂肪酸組成はリノール酸が40%を占めています。リノール酸はコレステロール低下作用に優れた必須脂肪酸で、最近の研究では、糖尿病の予防・改善にもヤマブシダケがよいと報告されています。
よいだしが出るためスープや味噌汁におすすめで、栄養の染み出た煮汁ごといただきたいきのこです。
雪嶺たけ
人体について6ヶ月の症例研究を行なったある調査では、高脂血症(血液中に溶けている脂質の値が必要量よりも非常に多い状態)の改善が確認されています。
また、肌をつるつるにして美白も期待できるトレハロースも豊富です。
中国などでは高級食材として珍重されているきのこで、新鮮なものなら生ハム巻きなどにして生でも食べられます。油との相性もいいので、シンプルなソテーや、ほかの野菜との炒め物にも向いています。
アワビタケ
食物繊維が豊富で、腸の運動を活発にして便秘を改善してくれます。また、食物繊維は余分なコレステロールが動脈や内臓、肝臓に溜まるのを防いで排出してくれるので、メタボリックシンドロームの予防にも役立ちます。
沖縄で多く栽培されているアワビタケには、通常のものより少し色の薄いものもあります。
中華風の炒め物やあんかけにすると、見た目も味わいもアワビに似た感じになります。うま味が出るので、肉や魚介を使わなくてもおいしくなる頼もしい存在です。
日本人は昔からきのこ好き!?
ちなみに、しいたけの食用の歴史は「古事記」や「日本書紀」にまでさかのぼるといわれています。また、干ししいたけの輸出の歴史も古く、鎌倉時代から中国の主に僧院へ輸出されていました。このことから、精進料理の中でも干ししいたけが重宝されてきたものと考えられます。
現在、日本の家庭でのきのこの年間消費量は、
1位:えのき茸
2位:しいたけ・干ししいたけ
3位:ぶなしめじ
4位:まいたけ
5位:エリンギ
となっています。
昔も今も、日本人はきのこ好きな民族のようですね。