栄養の過剰摂取や運動不足による肥満に悩む人が年々増加していますが、これは、糖尿病や高脂血症の増加と関連していると考えられます。肥満は、高血圧症・動脈硬化・心臓病・胆石症・痛風・関節炎・内分泌異常・呼吸器障害などを引き起こす、まさに「万病のもと」。まずはダイエットでメタボリックシンドロームを防ぎましょう。
肥満には種類がある!?
肥満は、体のどこに脂肪がつくかで次の二通りに分かれます。
- お腹が出ている上半身肥満のリンゴ型→内臓脂肪型肥満
- 下半身に脂肪がついた洋ナシ型→皮下脂肪型肥満
特に内臓脂肪型肥満には、インスリン感受性の低下、中性脂肪レベルの上昇、血圧の上昇が見られ、動脈硬化が進行する可能性が高いので、メタボリックシンドロームの診断基準に腹囲が採用されています。
こうした肥満には体脂肪の増加が伴います。当たり前ですが、体脂肪の増加は摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ったときに起こります。肥満を防止・解消するには、適度の運動でエネルギーを消費し、食べすぎなければよいのですが、正直それができれば苦労しませんよね。
絶食はNG!野菜を多く摂って
そこでつまずいている人は、まず脂肪を多く含む高エネルギー食品を控えて、野菜やきのこ類、海藻類などのエネルギーの少ない食品を取り入れる工夫をしましょう。絶食などの極端な食事制限ではビタミンやミネラルが不足してしまいますので、ダイエット中に野菜を多く摂ることは、その点からも重要なのです。
また、野菜に含まれる食物繊維はエネルギー源にならず、ほかの食物の栄養吸収を阻害して、血糖値や血中コレステロールの上昇を抑え、唾液や胃液の分泌を促進し、満腹感をもたらしますので、まさにダイエット向きといえます。
でも、そんな好条件ばかり揃った野菜なんて、すぐに思い浮かびますか?
ダイエッターの救世主!? ヤーコン
食物繊維は、主な野菜のなかではごぼう・枝豆・ブロッコリーなどに多く含まれていますが、最近の注目株ではヤーコンが挙げられます。
南米アンデス高原が原産地とされるヤーコンはキク科の食物で、さつまいものような形をした塊根に生理機能の優れたフラクトオリゴ糖を豊富に含んでいます。
フラクトオリゴ糖は消化吸収されにくいので、そのまま大腸に達します。このため、血糖値やインスリン値を上昇させることがない低エネルギーの糖質といえます。
また、腸内のビフィズス菌を増やす作用があるので、便秘解消や肥満抑制効果も期待できます。
最近、地域振興のための新顔野菜として各地で栽培されるようになってきたこのヤーコンは、いもというよりリンゴのような食感で、サラダなどに適しています。実際、四国農業研究センターにより日本土壌での品種改良がなされ、2000年に「農林1号サラダ乙女」として世に送り出されています。
サプリメント依存は考えもの
「食物繊維なんてサプリメントで摂ればいい」とつい安易に考えてしまいがちですが、サプリメントなどで一度に大量の食物繊維を摂取すると下痢などを引き起こすことがありますので、決して健康的で効率的な方法とはいえません。さまざまな食品からバランスよく摂るようにしましょう。