病院食や離乳期の乳児の食事に白身魚がよく出てくるのを疑問に思ったことはありませんか?
実は、これは魚の脂肪に関係しています。
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魚の脂肪の働きとは?
魚の脂肪は他の食品と比べて少なく、豚肉が全体の約30%、牛肉が20%なのに対して、わずか10%しかありません。
そのうち、赤身の魚では、生サバが100g中16.5g、サンマが16.2g、白身魚ではヒラメが1.2g、タラが0.4gと、白身魚の脂肪分はうんと少ないのです。
栄養面では、白身魚に比べ、赤身のほうがビタミン・鉄分などが上であるほかは、タンパク質量や消化の良し悪しの点でもあまり差はありませんが、この脂肪の量に栄養の差が表れています。魚の脂肪には、心臓病・脳卒中などの生活習慣病を防ぐEPA(エイコサペンタエン酸)が含まれ、リノレン酸などの動脈硬化を防ぐ成分も多くあります。
病院食は鮮度が命
そうなると、病院食や離乳食にあえて白身魚が使われているのは、栄養面の理由からではありませんよね。実は、魚の脂質は空気中で酸化しやすく、酸化すると毒を持って中毒を起こしやすいため、脂肪分の少ない白身が使われるというわけなのです。
また、赤身の魚は、ヒラメやキスなどの白身魚に比べてよく動き回るので代謝が激しく、酵素が多いので、死後はこの酵素の作用で自己消化が早く進み、鮮度が急速に落ちます。このため、鮮度が重要視される病院食に赤身は適さないのです。
濃厚な味は不向き
さらに、味の上でも、脂肪が多いとしつこく感じられます。赤身には、かつお節のうまみ成分であるイノシン酸・グルタミン酸が多く含まれるため、いっそう味を濃厚にしています。
この点でも、赤身魚は病気の人や乳児には不向きなのです。