食生活が欧米化し、適量をバランスよく食べるという従来の日本人の食事スタイルが大きく形を変えて久しい現代、生活習慣病などの健康上の問題が深刻化しています。
そこで今回は、現在の食生活を振り返るという意味も込めて、日本人の昔ながらの典型的な食事スタイルをご紹介してみたいと思います。
「一汁三菜」ってどんな食事?
昔の日本人の食事スタイルは「一汁三菜」。つまり、主食のごはんと味噌汁、主菜となるおかずと副菜2つというスタイルです。主菜は焼き魚などで、副菜はおひたしや酢の物、煮物などが一般的でした。
この一見質素に感じる食事スタイルこそが、実はバランスのいい理想的な形なのです。ごはんで糖質、主菜でタンパク質、さらに副菜でビタミンやミネラルを摂るという具合で、かつての日本人は、こうして意識することなく、実に栄養バランスのとれた食生活を送っていたのです。
この一汁三菜を毎食意識すれば、1食あたり8〜10品目は自然に摂取できるので、メニューづくりの参考にしてみましょう。
主食は白米より玄米が理想的
米も、かつてのものに比べると、現在の精米技術で売られている白米は栄養価が違ってきています。米の胚芽分は、ビタミンA・E・B群、ニコチン酸、パントテン酸、ミネラル群、酵素などを数多く含んでいるのですが、丁寧な精米により、これらがみんな糠として白米から取り除かれてしまっているのです。
しかし、玄米のまま食べれば、これらをすべて摂取できます。最近では、炊飯器に玄米を炊く機能がついていたり、圧力釜でなくても炊ける玄米が売られていたりするので、健康づくりに、まずは主食から変えてみてはいかがでしょうか。
旬の食材はいいことずくめ!
野菜も果物も魚も、旬とは関係なくどの季節でも口にできる現在ですが、旬のものを食べるのが一番おいしいのはもちろんのこと、実は栄養的にいっても、旬に食べるのが最も効果的です。
旬の時期にとれる野菜や魚などは、自然のリズムに合っているため、農薬や人工飼料などの使用量や回数が少なく、ビタミン・ミネラル・脂質などの栄養素が多く含まれています。しかも、たくさん出回る時期だけに、価格も安くて経済的といういいことずくめなのです。
「腹八分目」ってどのくらい?
昔から「腹八分目」が健康にいいといわれています。
マウスを使った実験では、食事量を80%に制限した場合と、100%与えた場合とでは、その寿命に1.6倍もの差があったという報告がありますが、腹八分目がいいのは人間も同じです。では、八分目とはどれくらいの量をいうのでしょうか?
これは感覚的な判断になるので、人によって異なりますが、しいていうなら「少しもの足りないと思う程度」です。これを一般的な胃の容量に換算すると、男性で1.2リットル、女性で1リットルが目安になります。
人間の食事は、家畜に与える飼料のようにカップで量ることはできませんが、もし全部を計量カップに入れたらとイメージし、これだと少し足りないかなと思うくらいが適量です。
無理せず、少しずつ
これらはほんの一例ですが、もちろん今すぐすべてを真似るのは大変です。長く続けるためにも、無理をせず、できると思われることから少しずつ取り入れてみましょう。