虫糞茶は虫屎茶(ちゅうしちゃ)・虫茶(ちゅうちゃ)・龍珠茶(りゅうしゅちゃ)・茶精(ちゃせい)などともいい、コナシや茶などを食べる蛾の幼虫の糞を乾燥させた中国茶の一種です。使用する植物と蛾によっては、化香蛾茶(かこうがちゃ)・三葉虫茶(さんようちゅうちゃ)などの種類別の名称があります。中国の広西チワン族自治区桂林市竜勝各族自治県周辺と湖南省の南部で主に生産されており、貴州省・四川省などでも自家消費用に製造されています。
虫糞茶の歴史
伝承によれば、次のような偶然の出来事があったとされています。
清の乾隆年間に湖南省城歩県で、茶葉を入れておいた小屋に雨漏りがして蛾が湧き、ほとんどの茶葉を食われてしまい糞だけが残るという被害がありました。これを片付けようとしていると糞が偶然水の中に落ち、水の色が赤く変わるとともに茶葉の繊維が現われるのに気づいたため、試しに湯を入れて飲むと味も甘味もあり香りもよかったことから、人為的に作ることが始まったとされています。
虫糞茶の特徴と期待できる効果・効能
虫糞茶といっても糞の異臭はありません。水色は濃い赤茶色で香り高く、ハチミツの甘味を含んでいるのが特徴です。さらに、葉が幼虫によって分解されるため、必須アミノ酸(特にリジン)が多く含まれており、うま味も増しています。また、善玉菌も多く含むため、健胃作用・整腸作用・止瀉作用・止血作用もあるといわれています。
虫の糞のお茶と聞くと若干抵抗を感じてしまいますが、必須アミノ酸や善玉菌といった、現代人の健康づくりに欠かせない成分が豊富に含まれているので、これらが不足していると感じている方は一度飲んでみてはいかがでしょうか。