日本茶は一年間を通して飲むことができますが、茶葉を摘み取った順番で呼び方が異なります。
産地や種類によって多少異なりますが、新芽が出てくる茶摘みの時期は年4回あり、最初に4月下旬から5月中旬にかけて摘み取られるものを「一番茶(新茶)」、6月下旬から7月上旬にかけてを「二番茶」、7月末から8月上旬にかけてを「三番茶」と呼びます。
一番茶(新茶)
一番茶はその年の最初に育った新芽を摘んで作ったお茶のことで、新茶ともいいます。一番茶という呼び方はその後に摘まれる二番茶、三番茶などとの対比として使い、新茶という呼び方にはその年最初の初物という意味が込められ、旬のものとして扱う場合に使われます。
一番茶(新茶)は冬の間に養分を蓄え、春の訪れとともに出てくる新芽なので、二番茶以降のお茶に比べて渋味成分のカテキンやカフェインが少なく、うま味のもとであるテアニンが豊富に含まれています。また、若葉のさわやかですがすがしい香りが特徴で、お茶のなかで一番おいしいといわれています。
二番茶・三番茶
二番茶・三番茶は一番茶(新茶)と同じ木から育ちますが、生育までに時間をかけずに摘み取るため、栄養が少なく風味も落ちるといわれています。
そのため、三番茶の時期に茶摘みを行わずにじっくり育て、9月下旬から10月上旬にかけて茶摘みをした四番茶(秋冬番茶)というものもあり、こちらは三番茶よりも味がよいとされています。
リラックスや記憶力・学習能力アップに効果を発揮
一番茶・二番茶・三番茶に含まれるテアニンには、緊張を解いたり興奮を鎮めたりして気持ちをリラックスさせる働きがあるといわれています。また、脳神経の興奮を鎮める作用があるため寝つきもよくなり、質の高い睡眠をとることができるほか、脳に直接働きかけてドーパミンなどの脳の神経伝達物質を活性化することにも役立つとされることから、記憶力や学習能力を高める効果があるとされています。
一番茶・二番茶・三番茶のおいしい飲み方
甘味やうま味を引き出すためにも、低い温度でやや時間をかけて淹れるのがポイントです。また、一番茶(新茶)は独特の香りを活かすよう、茶葉を仕上げる際の火入れが最小限に抑えられており、通常の煎茶と比べて日持ちがしないため、開封したら早めに飲むことが大切です。
ちなみに、お茶を淹れるときに湯のみに茶葉の茎が流れ込み、それが立った状態で浮いているのを「茶柱が立つ」といい、この状態を縁起がいいというようになったのにはいくつかの説があります。
一つは、急須の小さな網の目をかいくぐって茶葉が湯のみに入ることはとても珍しく、滅多にないことである上に立つというのはまれなことなので縁起がよい、といわれるようになったという説です。
もう一つは、一番茶(新茶)ばかりが売れて二番茶が売れ残って困っていた昔のお茶の商人が、二番茶は茎が多く混ざってしまうことが特徴だったことから、「茶柱が立つと縁起がよい」と広めて二番茶をなんとか売ろうとしたところ大成功したという説です。
そのほかにも、茶柱を家の大黒柱と連想し、茶柱が立つ=大黒柱が立つ=よいこと=一家の繁栄というふうに考えるようになったという説があります。
最近では急須の茶こしの網の目が小さくなったり、ティーバッグのお茶を飲む機会が増えたりして茶柱が立つ様子を目にすることはまれですが、これらの説を思いながらお茶を飲んでみるのも楽しいかもしれませんね。