暑い季節になると、夏バテ予防の対策が必須となる訳ですが、毎年なかなか上手にできず、最終的にはダウンしてしまうという方が後を絶ちません。
そこで、今年こそは元気に夏を乗り切り、秋爛漫といきましょう。その強い味方をご紹介します。
夏バテ予防にはクエン酸が必須
最高の夏バテ防止策は、規則正しい日常生活とバランスの良い食生活、そして、たっぷりの睡眠である事は誰もがよ〜く分かっています。でも、それがなかなか実践できない以上、その不摂生を補う策があればと願うところでしょう。それもできるだけ簡単で安上がりにこした事はありません。そんな願望を叶えてくれるのが、夏場に美味しく食べられる果物たちです。
今は、多くの果菜類が季節を問わず食べられます。しかし、恐るべし酵素パワー! 夏きゅうりの脂肪燃焼効果とは?でもご紹介したように、元々野菜や果物には旬があり、それは私たち人間が「元気にその季節を乗り切るために出て来てくれている」と捉えてもいいのです。
例えば疲労が蓄積されやすい夏は、『クエン酸』を率先して摂取する事が大事です。それに応じて、夏にはクエン酸豊富な果物たちが出回り、体調管理をサポートしてくれます。
クエン酸は本来、私たち人間の体内で自然に生成されるものです。ただ、その生成には十分な酸素が必要不可欠で、酸素供給がされなければ、たちまち製造を怠ってしまいます。そうなるとどうなるか? ATPこと『 アデノシン三リン酸』という物質がうまく産出できなくなってしまうのです。
このATPは、“生態のエネルギー通貨”と呼ばれるほど重要な化合物で、身体のエネルギーコントローラーと言っていいでしょう。全身に分布し、エネルギーを貯蔵しては必要に応じて放出しています。さらに、物質の代謝や合成の重要な役目の一部も担っているため、異常をきたすとたちまち不調に陥るのです。暑くなると疲れる、パワーがなくなるという事で、これを人は夏バテと呼ぶ訳ですが、それはまさしくA・T・P状態だと言えます。
そして、このATPを産出するのがクエン酸で、そのクエン酸を生成するのが酸素です。ところが、暑い季節は特にストレスや疲労がたまりやすく、酸素が不足しがちになります。すると、クエン酸が不足し、ATPの威力が衰えるのです。これこそが夏バテの最大の原因であり、このATPの機能低下を防ぐためには、意識的にクエン酸を取り込む事が重要になります。
梅で夏バテ予防は危ないかも?
クエン酸と言えば梅という事で、梅干しは昔から夏バテ予防に効果を発揮する食品だと言われて来ました。事実、梅は5月下旬から7月上旬に掛けて収穫期を迎えます。つまり、夏バテを防止するために夏に出てくる果実と言えるのです。
しかし、梅の実は果物とは言え、生で食べられる事は殆どありません。と言うより、梅の実は生で食べられないと思っておいた方が無難でしょう。と言うのも、梅の実には、誰もが知る怖い毒物「青酸」が入っているからです。
美味しい健康食品の代表格とされる梅が青酸化合物だなんて信じられないと思われるかも知れませんが、これ、ほんとの話!! しかもこれは、糖と結合した『青酸配糖体(せいさんはいとうたい)』という化合物で、まさしく“甘い話には毒がある!”です。
こんな話をすると、何だか梅というのは危険物のようですが、決してそうではなく、梅たちは、これによって虫や鳥から我が身を守り、実を残し、種を残して私たち人間に貢献してくれているのです。とは言え、やはり青酸ですから、人間だって油断はできません。生梅を口にすれば、たちまち呼吸困難に陥っても不思議ではないでしょう。
特に実ったばかりの小さくて柔らかい青梅は、この青酸配糖体の含有量が多く、その後、成長し、自らが大きく堅くなるに連れ、その量は減少していきます。完熟梅の青酸配糖体含有量は、未熟な梅の約10分の1程度。さらに、干したり漬け込む事により、梅の実や種に含まれる青酸配糖体は分解され、人畜無害になっていきます。因みに、完熟梅になると青酸配糖体は激減し、大粒の生梅を300個ほども食べて、ようやく致死量に達するくらいです。従って、「梅干し殺人事件」なんていうのは、売れない推理小説作家のネタにすぎないと言えます。
ですが、完熟梅は堅くて、生で食べようとは思わないでしょう。やはり、果物として食すのであれば、実ったばかりの柔らかい青梅という事になり、これはいささか危険です。となると、完熟梅が梅干しやシロップ漬けとして出回る頃が本当の梅の旬となり、それは完全に秋まっただ中! 流石にもう夏バテの名残りがある人はいないと思われます。
加えて、夏バテ防止には、1日3グラムから5グラムのクエン酸を摂取するのが望ましいとされていて、これが思いのほか大変! 中粒の梅干しでも、1個あたりのクエン酸含有量は0.3グラムほどですから、10個以上食べても足りないではありませんか!! しかも、梅干しを毎日多量に食べ続けると、今度は塩分の過剰摂取という不安が出て来ます。そこで、何かしら、他の対策も考えた方がよさそうです。
夏バテ防止には1粒の梅干しより1杯のグレープフルーツジュース
クエン酸を多く含む食品として、梅干しと同時に上げられるのがレモン!! 事実、レモンやライムのクエン酸含有量は100グラムあたり約6グラムと、非常に豊富です。しかし、レモン1個あたりの重量が120グラムほどである事を考えると、食べられるところを徹底的に食べ尽くして、ようやく目標達成と言ったところでしょう。つまり、これも現実的な策とは言いがたいのです。
確かに、梅干しやレモンで夏バテ防止という作戦も、日々の食生活の一環として取り入れるのは悪くありません。けれど、夏こそ食べたいクエン酸豊富な食品が存在します。それが、適度な酸味と苦みを持ち、口当たりのいいグレープフルーツやオレンジ類です。
レモンも柑橘類ではありますが、その旬は秋から冬に掛けて。それに対し、グレープフルーツの旬は春から夏に掛けてです。また、ネーブルやバレンシアのようなオレンジ類も、初冬の頃に収穫されるものの、その後しばし寝かされ、3月頃から出荷されるのです。という事で、オレンジやグレープフルーツは今が食べ頃の果物。食欲のない時にも食べやすく、さらに、その大きさから見てもクエン酸摂取には優位だと言えるでしょう。
特にグレープフルーツなどは、100グラムあたりのクエン酸含有量は僅か1グラムですが、1個の重さが約300グラムで、そのうちの3分の2以上が可食部です。そうなると、一気に2グラム以上のクエン酸を取り込める事になり、朝晩1個ずつ食べればバッチリ! さらに、果汁100%のジュースにすれば、僅かコップ1杯、200ccで2.5グラム程度のクエン酸摂取が期待できます。つまり、たったコップ2杯で5グラム超え!! 楽々目標達成できるのです。しかも、これなら十分毎日飲める量でしょう。
いかがでしたか?
今年こそ、手軽に確実に夏バテ予防がしたい! そんな願望を叶えてくれるのが、コップ2杯のグレープフルーツジュースなのです。早速今日から梅干しと共に冷蔵庫に常備してみましょう。
<ライター:健康通(けんこうどおり)>