茎茶は玉露や煎茶を作る過程で使用されなかった茎だけを集めたお茶で、独特のさわやかな香りと甘味が特徴です。また、茎が棒のような形をしているため、棒茶とも呼ばれます。
茎茶の特徴と代表的な種類
茎茶は、荒茶を玉露や煎茶に仕上げる加工中に生じる副産物であるため低価格で販売されていますが、高級な玉露や煎茶から採れた茎茶は「雁が音(かりがね)」「白折(しらおれ)」と呼ばれ、高級茎茶として珍重されています。
また、茎茶は甘味が豊富なためほかのお茶とブレンドしやすいという特長があるだけでなく、お湯の温度や蒸らし時間を気にせず淹れることができるという手軽さと値段の安さから、家庭や職場などで日常飲むお茶としても人気です。
茎茶に含まれる成分とその効果・効能
テアニン
茎茶に含まれるテアニンは日光に当たると光合成することによって渋味成分のカテキンに変化しますが、茎の部分は葉と違って光合成をほとんどしないため、玉露などのように人工的に日光を遮らなくてもテアニンの損失とカテキンの生成を抑えることができます。
テアニンには、緊張を解いたり興奮を鎮めたりして気持ちをリラックスさせる働きがあるといわれています。また、脳神経の興奮を鎮める作用があるため寝つきもよくなり、質の高い睡眠をとることができるほか、脳に直接働きかけてドーパミンなどの脳の神経伝達物質を活性化することにも役立つという研究報告もあり、このことから記憶力や学習能力を高める効果があるとされています。
葉酸
茎茶には、DNAの形成や細胞の再生に不可欠とされる葉酸が豊富に含まれています。細胞分裂を活発にする作用があるため、口内炎・舌炎・下痢・胃潰瘍・十二指腸潰瘍などの予防に役立つといわれています。
カフェイン
茎茶には、中枢神経に作用して集中力をアップさせたり眠気を覚ましたり、疲労感を解消したりする働きがあるといわれるカフェインが含まれていますが、コーヒーのような強い興奮作用ではなく、緩やかに作用します。その理由として、コーヒーよりもカフェインの含有量が少ないということに加え、カフェインの興奮作用をテアニンが抑制しているということがあります。そのため、就寝前でも安心して飲むことができます。
茎茶のおいしい淹れ方
茎茶は通常の深むし茶に比べて若干味が出にくいので、蒸らす時間を多めにとるのがポイントです。
- 湯のみの九分目くらいまでお湯を注ぎます。寒い季節は急須にもお湯を注いで温めます。
- 急須のお湯を捨てます。
- 急須にティースプーンに山盛り2杯(6~7g)の茎茶を入れます。
- 注いであった湯のみのお湯を急須に移し、フタをして50秒待ちます。
- 少しずつ廻し注ぎをし、最後の一滴まで注ぎきります。
- 二煎目は急須にお湯を注いでから待たずに注ぎ分けます。お湯の温度はお好みで構いません。
ちなみに、現在ではほとんどの急須に網目がついているため、湯のみに茎の部分が出ることはほとんどありませんが、「茶柱が立つと縁起がよい」という言葉の茶柱とはこの茎茶の茎を指しています。
また、烏龍茶の茎の部分だけを集めた茎茶も存在しています。通常の烏龍茶よりも若干香ばしい味わいが特徴で、中華料理店でよく利用されているようです。こちらも味わってみたいという方はぜひ試してみてください。