キノコはちっちゃくて可愛い?
日本人はキノコ大好き民族である事は、多くのアンケート結果から分かります。そして、その理由は美味しいから、香りがいいからというのが主流ですが、キノコの魅力は、そんな単純なものばかりではなさそうです。
女子はキノコがお好き!
美味しいだけじゃないキノコの魅力の一つに、神秘的なのに何ともキュートという見た目があります。軸の上に傘を被ったキノコは、手足がなく、葉も生やさない、花や実も付けないシンプル・イズ・ベストの形状。まさしく動物でもない、植物でもないキノコならではのルックスです。
けれど、そんなキノコだからこそ、目や口があって、話したり、動いたりするとユーモラスで愛らしく、乙女心をくすぐるものと思われます。実際、日本にはキノコの見た目が大好きで、キノコグッズ大好きという「キノコ女子」が大勢いて、キノコのキャラクター性は、売れないゆるキャラ顔負けの人気を博しているのです。
このキノコの見た目の魅力は、男性には中々理解しがたいそうですが、今ではキノコ好きが講じて、秋になれば率先してキノコ狩りに山里へ出掛ける女性、挙げ句の果ては、自分でキノコ栽培に勤しむ女性も急増して来ました。また、ヘアスタイルをマッシュルームカットにし、自らが可愛いキノコのようなルックスになる女の子も多く、若い女性たちは様々な形でキノコを愛し、その魅力を満喫しているのです。
あの人気チョコレート菓子はキノコがモデルではなかった!
しかし、キノコは菌界の菌茸類という分類の総称ですから、動物界にいる犬や猫と同様、多くの種類があり、その全てが人気チョコレート菓子のような形をしている訳ではありません。
ちなみに、この広い地球上には2万種以上のキノコが生息していると言われ、そのうち、日本で見つける事が出来るのは3000種類くらいでしょうか!? その中には、傘が大きく軸も太いもの、傘は大きいけど軸は細いもの、傘も小さく軸も細いもの。あるいは、傘が大きく軸も長いもの、傘は大きいけど軸は短いもの、傘が小さく軸も短いもの、さらには、軸を持たないものや袋の中に傘も軸も隠しているものなどなど、様々な形状があります。
また、大きさもバラバラで、エノキのように細かなものから、マツタケのように比較的大柄のものまでいろいろ。ではでは、キノコ女子と呼ばれる若い女性たちは、どのようなキノコを好むのでしょうか?
とある大学の研究チームが実施した18歳から30歳までの女性500人を対象にしたアンケート調査によると、見た目が好きなキノコ第1位はシメジという事で、やはりお菓子に似た小柄なキノコが人気を集めている事が分かりました。
ですが、傘の部分がチョコレートで、軸の部分がクラッカーというあのお菓子は、キノコを見て作られたものではありません。既存のチョコレートにビスケットをくっつけたもので、その姿がたまたまキノコに似ていたところから本格的な商品開発が始まったものです。とは言え、そのルックスと名前がキノコ好きの日本人には多大なる好感をもたらせたのでしょう。発売から40年以上たった今でも、人気チョコレート菓子の座をしっかりキープするロングセラー商品となっています。
世界一巨大な生物はキノコ!
さらに、キノコ女子が持つ“キノコはちっちゃくって可愛い”というイメージも、実は大間違い! なんと、世界一巨大な生物はゾウでもクジラでもなく、『オニナラタケ』というキノコなのです。
別名“ツバナラタケ”とも呼ばれるこのキノコは、北米やアフリカが有名ですが、ユーラシア大陸にも生息していて、日本でも思いのほか身近な存在! 特に北海道では“ボリボリ”と呼び、その名の通り、みんなボリボリ食べています。また、日本のシンボルである富士山の裾野でも、“アシナガ”という名の立派な食材で、大きくて食べ応えがあると親しまれているのです。
それもそのはず、何しろオニナラタケは「キシメジ科」という分類のキノコで、日本人が好きなシイタケやマツタケと同じ仲間です。大きくて食べ応えがあると言っても、傘の大きさは3センチから15センチ程度。エリンギやマツタケより若干大きいレベルです。そのため、日本では、これが世界一巨大な生物どころか、世界一大きなキノコだと思っている人すらいないものと思われます。
ところが、まさしく所変わればで、アメリカ西海岸のオレゴン州東部の森林に生息するとあるオニナラタケは、重さ約600トン!! 約890万平方メートルにも及び、甲子園球場230個分以上の敷地を占拠していると言うからビックリです。もちろん、この重さと大きさは世界一巨大な生物という事になります。ではでは、何故ここまで立派なキノコに成長したのでしょうか? その理由は後のお楽しみ。キノコの生態を探る事で明らかになるでしょう。
ともあれ、日本人はキノコ大好き民族ですが、さらに広い世界に目を向けると、日本では気が付かないような面白いキノコのエトセトラに出会えます。まさにキノコは所変わればの生物なのです。