血縁者に糖尿病の人がいると、「自分も発症するかも…」と心配になってしまいますよね。たしかに糖尿病は遺伝が大きな要因のように思われていますが、実はそうとは限りません。
遺伝するのはむしろ「体質」
家族に糖尿病歴がある人がそうでない人に比べて糖尿病になりやすいというのは事実ですが、遺伝するのは糖尿病そのものではなく「体質」です。
日本人の糖尿病患者の99%が2型糖尿病ですが、これは、遺伝的要因のほかに、食生活や運動不足、肥満、ストレス、飲酒、喫煙などの生活習慣が大きく影響しています。遺伝子に引き継いだ「インスリン分泌が低い体質」に、そういった生活習慣が加わることで発症しやすくなるのです。
生活習慣の改善で予防できる
つまり、2型糖尿病の多くは生活習慣次第で予防できる可能性が高いといえます。実際、糖尿病を発症してからでも、治療と並行して、バランスのとれた食事と適度な運動を心がけて血糖値をコントロールすることで、健康な人と変わらない生活をおくっている患者さんはたくさんいます。
具体的な予防・改善策とは?
では、栄養バランスのよい食事と適度な運動のほかに、どんな予防・改善策をとればいいのでしょうか?
1. 速く歩く
運動というとハードルが高く感じますが、いつもの移動中にきびきびと速足で歩くだけでもいい運動になります。
2. 立つ時間を増やす
テレビを見るとき、新聞を読むとき、電話をするときなどに立っている時間を増やしてみるだけでも、エネルギーを消費できます。その際、背筋を伸ばすとより効果的です。
3. 食物繊維を摂る
食物繊維には水溶性と不溶性があります。水溶性には、糖を包み込んで吸収を遅らせ、血糖値の上昇を穏やかにするという働きがあり、不溶性は、噛みごたえのあるものに多く含まれているため、食べすぎを防ぎます。
4. ベジ・ファースト
食事の最初に野菜から食べる「ベジ・ファースト」は、血糖値の上昇を穏やかにする食べ方です。野菜に含まれる食物繊維が胃の中で網を張り、食べ物の糖を絡め取ります。野菜のほか、水溶性食物繊維を含む海藻・豆・こんにゃくも有効です。
5. ゆっくり噛んで食べる
食べすぎは膵臓を疲弊させ、インスリンの分泌を弱めます。また、インスリン分泌が弱いと血糖値の上昇を抑えにくくなります。噛みごたえのあるごぼうやれんこんなどの根菜は食べすぎを防ぐうえに、豊富な不溶性食物繊維が便秘も防ぎます。
6. インスリンの材料を補う
インスリンの材料となるのが亜鉛やクロムです。亜鉛は牡蠣や納豆などに、クロムは鯖や昆布などに含まれます。
7. よい睡眠をとる
睡眠不足はインスリンの働きを低下させますので、7時間ほどを目安に良質な睡眠を摂りましょう。ただし、寝過ぎも糖尿病のリスクが高まるので要注意です。
8. ストレスをためない
ストレスを受けると、アドレナリンが分泌されて血糖値が上昇するほか、不眠や暴飲暴食を招くこともあります。リラックスできる時間を作るなどして、ストレスをうまく発散させましょう。
9. 禁煙する
タバコに含まれるニコチンは高血圧・動脈硬化を進行させます。また、高血糖はただでさえこれらの発症リスクを高めているので、今すぐ禁煙しましょう。
10. しっかり歯みがきをする
歯周病も糖尿病を悪化させる要因の一つです。また、高血糖が歯周病を悪化させやすくもしますので、歯みがきと歯科検診でお口の健康も守りましょう。
将来もずっと笑って過ごせるように
糖尿病は怖い病気ではありません。10年後、20年後のために、今一度糖尿病について考えてみませんか?