食の知識&健康

トランス脂肪酸のリスクを回避する方法

米食品医薬品局(FDA)は、マーガリンなどの加工食品に含まれるトランス脂肪酸を「安全ではない」として禁止すると発表しました。3年後の2018年6月以降は、食品に加えることが原則禁止されます。

トランス脂肪酸とは?

トランス脂肪酸は、天然の植物油にはほとんど含まれていません。工業製品を作る際に、植物油の精製で副産物として生じるもので、マーガリンやショートニングに多く含まれています。(食品メーカー各社によってトランス脂肪酸を減らす試みがなされており、トランス脂肪酸の少ない製品もあります。)

以前から、人工のトランス脂肪酸である部分水素化油脂(PHO)は、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増加させ心臓疾患のリスクを高めるとして、安全ではないと指摘されていました。
なお、天然のトランス脂肪酸は、牛肉や乳などに微量が含まれています。

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トランス脂肪酸のリスクと人体への影響

トランス脂肪酸の摂取に伴うリスクとして指摘されているのは、心臓病・狭心症・心筋梗塞の発症や認知機能の低下です。

  • LDL(悪玉)コレステロールを増やす
  • HDL(善玉)コレステロールを減らす
  • 冠状動脈や脳血管に悪影響を与える(動脈硬化のリスク)
  • 心臓病・心筋梗塞・狭心症・心臓疾患などのリスクが高まる
  • アレルギー疾患を引き起こす恐れがある(喘息/アレルギー性鼻炎/アトピー性皮膚炎)
  • 内臓脂肪が蓄積し肥満・メタボになりやすい
  • 脂質異常(コレステロール、中性脂肪)
  • 高血圧や高血糖、糖尿病にかかるリスクが高まる
  • 認知症リスク(ボケやすくなる可能性)

また、母乳を通じた乳児へのトランス脂肪酸の移行により、胎児や乳幼児への悪影響も心配されています。

すぐに出来るトランス脂肪酸対策

トランス脂肪酸のリスクを回避するには、まずは次の2つに気をつけましょう。

(1)料理にマーガリンやショートニングは使わない

バターやオリーブオイルを使いましょう。

(2)原材料にマーガリンやショートニングを使ったものは食べない

パン・ケーキ・ドーナツ・クッキーなどの洋菓子やアイスクリーム、スナック菓子、揚げ物などは、原材料を確認してトランス脂肪酸が含まれている食品は避けましょう。

トランス脂肪酸が多く含まれている食品

下表は、食品100g中のトランス脂肪酸の含有量です。

バター ~2.2
ファットスプレッド ~10
ショートニング ~31
マーガリン 〜13
菓子パン ~0.78
コンパウンドクリーム 12
生クリーム ~1.2
コーヒークリーム ~3.4
アイスクリーム ~0.6
ショートケーキ ~1.3
アップルパイ、ミートパイ ~2.7
菓子パイ ~7.3
ビスケット ~2.5
クッキー ~3.8
ポテトスナック ~1.5
味付けポップコーン 13
スナック菓子 ~1.3
マヨネーズ ~1.7
カレールウ ~1.6
ハヤシライスルウ ~4.6
ナチュラルチーズ ~1.5
牛肉 ~1.2

製品によって違いがあり、上記は最大値を示しているので、全ての商品にこれだけのトランス脂肪酸が含まれているわけではありませんが、購入時に要注意の製品ということです。
出典:食品に含まれる総脂肪酸とトランス脂肪酸の含有量[農林水産省]

女性が好きな食パンや菓子パン・ケーキ・クッキー・アイスクリームなどの食べ物にはトランス脂肪酸が多く含まれているものがあります。

パン類やクッキー類などの〝粉もの〟をよく食べる都市部の30〜49歳女性は、トランス脂肪酸の摂取量が高い傾向にあるので注意しましょう!

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