「せっかくお金を払って食べるならおいしいものを食べたい」とはだれもが願うことです。そのおいしいものを食べるためには、食べるのに最も適した時期・一番おいしい時期を心得ておくことが肝心です。この時期がいわゆる「旬」です。
といっても、いたずらに高価な初物を求めるべしというのではありません。まずは、旬の食材を選ぶとどんなメリットがあるのかということから知っておきましょう。
充実の栄養価
野菜は、旬のものとそうでない時期のものでは、栄養価がかなり違います。
たとえば、旬の2月に収穫したほうれん草は、7月のものに比べてビタミンCが約8倍ですし、にんじんやトマトについても、旬の時期はカロテンが数倍も違います。
特に季節によって育つ品種が違うものは、同じ野菜でも季節によって栄養価が大きく違ってくるので、旬の野菜を食べることは、栄養面からもおすすめなのです。
一方、ミネラルなどはあまり季節による変動がありません。
また、ハウス栽培が多いピーマンや輸入物が多いかぼちゃなどは、ほうれん草などの露地栽培が多い野菜と比べ、ビタミン類などの栄養価の変動が年間を通じて少ないという調査結果も出ています。
エコで経済的
旬とは、最も無理なく野菜を生育し収穫できる時期でもあります。このため、肥料や薬剤などの使用を比較的少なくして栽培でき、しかも大量に収穫できることから、市場の価格が安めになります。
つまり、旬を食すということは経済的であるということにもなるのです。
野菜本来の味
旬の野菜は、野菜本来の味がするという意味で「おいしい」といえます。ハウス栽培や特殊な栽培法で苦みやくさみを抑え、甘みを増大させているものなどをおいしく感じる場合も少なくはないのですが、本来の味を楽しめるという点においては、やはり旬の野菜に勝るものはありません。
あの野菜の旬はいつ?
各野菜の旬は次の通りです。
1月
大根・春菊・ほうれん草
2月
ねぎ・小松菜
3月
にら・わさび
4月
たけのこ・さやえんどう・キャベツ
5月
玉ねぎ・アスパラガス・にんにく
6月
しそ・きゅうり
7月
枝豆・トマト・生姜・冬瓜・なす
8月
レタス・みょうが・ピーマン・ししとう・モロヘイヤ・とうもろこし・セロリ
9月
かぼちゃ・さつまいも・じゃがいも・オクラ
10月
きのこ類(しいたけ・しめじ・なめこ・えのきたけ・まいたけなど)
11月
にんじん・れんこん・ブロッコリー
12月
白菜・かぶ・カリフラワー
ただし、ご存じのように日本列島は縦に長いので、地域によっても旬にズレがありますし、その旬が数ヶ月に及ぶ野菜もあります。
安くておいしい旬の野菜で食卓をより豊かに
ほしいときにほしい食材を手に入れられるのは確かに便利ですが、せっかく四季それぞれの恵みを享受できる日本に住んでいるからには、その季節ならではの食べ物を楽しまないのはあまりにももったいないと思いませんか?
毎日の食生活において、食材選びはその第一歩となります。安く良質な素材を選んで季節の彩りを盛りつけた一皿が、これからの食卓をより豊かにしてくれますよ。